ソイブッカオ周辺に世界中から集まる沈没指向の中高年男性達、ここに流れ着くには個々の背景理由と事情があるのだろう。しかしここで行うことは皆大差はなく、夢の追求だ。一瞬の夢、見果てぬ夢、儚い淡い、色々あるだろうが連日連夜、同じことが繰り広げれている。   
そして翌朝だ。ここでも皆、大体同じ行動をとることに。二日酔いで濁る頭を振りながら、重い体を引き摺るようにベットから這い出てきて、眩しい南国の日差しに眼を細めながら辺りを見回すのだ。ここで悪態を一つ二つ、またやっちまった! 予想以上に薄くなっている財布を手繰り寄せてポケットに捩じ込み、スマホも放り込んで外へ。ファラン修行僧達よ!夢は醒めたか?(中には太陽があがってもまだ夢心地の猛者も時々いるが。)前夜に飲みすぎ乾いてざらつく喉、ズキズキ疼く頭の中、体のあちこちが文句を言い始めるのもこの瞬間だ。なんとか宥めなければいけない。このままでは悪夢に早変わりしてしまう。

コーヒーはどこだ?オレンジジュースと。それからアツアツ卵とベーコン、ソーセージの朝飯が必要だってことになる。毎朝、繰り広げられる光景だ。パタヤ出家信者でもある私が長い間、日常的に利用するコーヒー、フルーツ露店を紹介する。場所はブッカオ常設市場の向かって右サイド、今年に入り新規開店した地元有力コーヒーチェーンCafé Amazonの真隣だ。しかし駆逐されずに定常客が留まっている。私も両店舗併用だがその一人だ。小さな椅子とテーブルに着き、ここでボーっと道行く人を眺めていると何故か落ち着くのである。人間観察にも絶好のスポットでブッカオ人間模様も垣間見える。礼儀正しいがそっとしておいてくれる店主夫婦ともいつしか馴染みに。メニューは簡素で Hot,Ice,shake系のコーヒー、茶類だけだ。そして次は2軒隣のフルーツ屋台だ。個人的にはこの2店はセットになっていて日に何度も利用する。ここで果物を買ってから前述のコーヒーテーブルに着くのが私の定番だ。自家製果物の酢漬けなどはローカルが良く買ってゆく。
ここも夫婦でやっていて朝から晩までの連日の長時間営業だ。。非常に目利きがいいのか、どのフルーツも本当に甘く美味しい。(先日、サトウキビから煮出した薄い糖蜜にパイナップルを一瞬浸す憎い秘密を見てしまった。苦笑)が、手際も良く一瞬で出してくれて値段も基本20バーツだ。(随時、品目、時期で妥当に調整されるが、ボッてくるようなこともなく心配フリーだ。)良く冷えていて舌に心地よい。店主のオバちゃんは英語は通じないが、店横に勝手に座って食べて居ても快く応じてくれる。多くのファラン侍も定常客だ。朝一、暑い日中に喉を潤すにも、晩飯の後のリフレッシュメントにも都合が良くハンディー、且つスピーディー、衛生的にも問題はない。
市場での現物買いに比べれば高価だが、単独ホテル暮らしではこのサービスは抗い難いな。

で次の沈没ファラン朝の停車駅は Caffe Pitini。タラートブッカオから通りをそのまま歩いて南下し約100m、テスコロータスの少し先。この店は充分過ぎるほどの有名店なので店舗外観と詳細は割愛させて頂くが、特徴はテラス席とガラスで区切られた静かな店内は冷房、高速WIFI、ウエイトレス達の気さくでスマートな接客マナーと制服だ。

そう、普通のファランスタンダードで彼らの伝統的な嗜好を網羅している。ソーセージ、ハム、ベーコン、肉製品、卵、スープ、サラダ、各種ブレッドにパイ類、アイスクリームにデザートに多種なコーヒー、ティー、もちろんアルコールも外さない。一言にファランと言っても多種多様なニーズがあるらしい。メニューの一部を下に。



この種のちゃんとしたファラン朝飯が食べれる場所として長期間認知されていて老舗の部類かもしれない。なんとなく足が向いてしまい、言葉を交わさずとも客と馴染みになってしまう。修行を終えた翌朝に必要なものはみんな同じだ。静かで涼しい環境、WIFI、旨いコーヒーに妥当な朝飯、他に何が必要だ?そんな普通の店だ。