パタヤの現在 緊急指令 至急微笑みの国を脱出せよ その2より続き
国家非常事態宣言、外出禁止令、外国人への入国禁止措置等。。
愛し慣れ親しんだタイ王国だが次に来れるのはいつになるか全く不透明。
それを考えた途端、腹を満たした後、急に別のものも満たしたくなってきた。
我ながら現金なものだと感じなかったと言えば嘘になるが。。
国家非常事態宣言発布前夜だが、私個人の下*身における非常事態宣言はとっくに発令されているのでこっちの方も対処すべく、手軽な選択肢が並ぶビーチロードに足を向ける。。
なんだ! 結構、居るじゃんか? 国家は非常事態寸前と言っているが、彼ら自身も非常事態なのであろう。。
文字通り、雨が降ろうが槍が降ろうがなんとやら。。
例え戦争中にも人はこの営みを欠かさないのは人類の歴史の中を見ても明らか。
(この部分の記述は主題から外れるので割愛させてもらう)
最後の夜をそつなく消化し清々しく晴れ渡った空の下、脱出失敗のシナリオも描きながらパタヤ最後の朝を過ごす。
それは出国準備済ませながら、同時にパタヤ籠城の心積もりを固めつつ、惜しむように最後の瞬間までパタヤを愉しもうとする様な奇妙な経験だった。
思うのだが、、いつかこの全てが終わり晴れてこの地に戻った時に、観光地としてのパタヤは存在しているか少し不安になる。。
目に不安を宿しながら、力なく微笑むタイの人達を想うと気の毒で仕方ないが、先進国の人間にとっても、経済崩壊への恐怖は同じで明日は我が身。。
そして事後処理を全て済ませ、何とか空港行のバスに乗り込む。
政府の発した移動制限の為、午後5時パタヤ発の私のバスが本日最後の運航になる様な話を耳にした。
文字通りのギリギリのセーフか。。
なんだかその昔、本で読んだサイゴン陥落直前の最後の脱出行のストーリーに似ていなくもない展開。
今回の敵は、音や姿も無く忍び寄り、目に見えないのでかなり手強い。。
移動制限発令直前に空港に到着。今のところ三たびの運航停止の連絡は無いが、依然として安心はしていない。
出発ターミナルに入ると、、テレビで見ていた先日までの閑散さは消え失せている。
むしろ、雑然としていて混雑している。
現場の雰囲気は、空港出発階に通常宿る高揚感はではなく、緊張感と不安、それに切迫感や緊迫感が漂っている。
飛沫感染を恐れているのか? 口を開いている人も少ない。
余裕をとり夜間の外出禁止発令時刻にも抵触しないであろう時刻に、パタヤを出発したので出発の6時間程前に空港到着。
それなら昨日に運航停止してしまった私のタイ国際航空642便の事後処理でもと想い、セールスデパートメントに向かってみるが。。
代わって空港地上階の東端にある24時間職員向け廉価食堂マジック・フードコートに向かう。
時間つぶしを兼ねた腹ごしらえをしている最中にも、何度も運行情報に目をやる。。
大丈夫だ!変化はない。。まだ飛ぶようだ。
それでも実際のチェックインまでは安心できないな。。
そして僅か半時間後にチェックインカウンターに戻ると、既にカウンター受付は始まっていて、レガシーキャリアでは見たことも無いような長蛇の列が出来ている。
列の長さとカウンター職員の数を見ると、LCC以上の余裕の2時間以上の待ち。
それもその筈、欧州帰国の手段を失くしたヨーロッパ地域の市民達が、比較的運航を継続している日本を経由して何とか帰国しようと押し寄せているようだ。
昨日の当便予約時には4割がた有った残席が、先程には0になっていた。
過去24時間で、さぞかし熾烈な残席奪い合いが起きていたのだろうと推測する。
行列には、同じく全日空の時間的に一つ前の同ルートの搭乗客達も混在していると見え、出発時刻が迫った彼らは職員たちによって列から抽出されて手早く処理されていく。
訊くとその便も満席なようだ。
そうか、やはり俺のは最終運航便なのか。。
何たる僥倖! 偶然ビーチロードのあの場所をあの時に通らなかったら。
今頃は、帰国難民の仲間入りだった筈。
立ち往生するにはベストな国ではあるが、外出禁止令や移動制限下ではそれも心許ない。
そうなれば帰国の望みは政府機関の援助以外には望めない。
それには後から漏れなく、安部さんからの高額な請求書が届くと言う話らしい。。
それは慣れた私のような修行僧には悪夢以外の何物でもない。
大分、待たされたとは言え無事チェックイン、出国審査を終えてやっと安堵する。。
どうやら無事に帰れるらしい。。
依然として成田での拘束か、隔離の不安は拭いきれないが。。
現時点では、私はそれに懐疑的だ。
全くこの世界全体、いや人類全体を巻き込んだドサまわりの責任は誰がとるのだ?
某国共産党指導部よ? まだ、何か言うことはないのか?
この時点で出発まで2時間以上あり、、ゲート前にて時間つぶしに当記事の執筆に没頭しているといきなり空港職員らしき人に肩を叩かれ。。
なんだ、、この場に及んでもまた変更か!
今回は油断も何もなく、気が休まる時がない旅だな! まったくコロナめ!
そして日付が変わり3月26日、時刻00:30に搭乗便は無事にスワンナプーム空港を離陸し、一路、5000km彼方の我が祖国へ。
既にタイ国内では外出制限、国家非常事態宣言は発令されているだろう。
表向きは民政だが、現政権のルーツは偽りのない軍事政権。
タイ王国国民であろうと外国人であろうと関係なく、必要なら市民の自由や権利は造作もなく制限されるだろう。
それではいくら好きなタイ王国とは言え、一度、撤退してから出直すのが最善ってものだろう。
それまでじっと待てばよい!
だが、、待てよ! 一体、いつまで?
半年?一年? もしくはそれ以上か?
最悪、私自身が罹患して命が尽きる事も、充分ありうるわけで。。
ひょっとするとこれが最後になりかねない。。
先程まではタイの人々を気の毒だと、憐れむ気持ちが勝っていて気が付かなかったのだが。。
我が母国が必ずしも安全な訳でもなく。。
なんとまあそれに早く気が付いていたら。。。
もっとちゃんと友人たちに別れを言っておけばよかった、、と後悔したがそれも後の祭り。
懸念していた空港検疫に引っかかりもせず、隔離もされずに晴れて自由の身に。
しかし皮肉にもこの時、既に我が国の首都でも、都市封鎖や国家による非常事態宣言の発令が考慮され始めていたと言う。
これだけ苦労して移動したにもかかわらず、、また同じことの繰り返しだ。
なんとまあ、既に地球上にコロナウイルスからの逃げ場はないらしい。
なんとも大変なことになったものだ。