昨日までのバリヒンヅーの重要な祭祀イベントのガルンガンに沸く島内各地、バリニーズにとっては商売など二の次で儀礼祭礼に明け暮れる。
当然、島内の商業活動はスローダウン。
道路も空いていて我々サーファーにとっては幸いだった。昨日は3つある主要な波予報サイトのうち、2つで10ft+、5000kj超えの予報。
最近、よく当たるサーフラインの方では、本日がなんと10ft-15ftの予報が出ていた。
サイトによって尺度の違いはあるが、先日のコンテスト開催の日のウルワツと同程度になると誰もが予想して警戒待機していた。

サーフライン予報サイトを覗きたければこちら

先日同様に、今回もこの位になると予想されていたのだが。。

昨日は、大きい板を用意し中々、上がってこない波を待ち過ぎて結局入らずじまいに終わる。
誰も波のサイズが上がるのが目に見えている状況下では、敢えてその前段階で体力の浪費などはしないものだ。
一度、メジャーなウネリが入れば、各自がある限りの体力をかき集めても心許ないのだ!無駄に消費する余裕は誰にもない。

それで満を期して今朝は4時に起床して念入りに心と体、そして道具の準備を行う。
しかし、私の長いバリ波乗り修行の経験が、何かを告げていて。。
何かが引っかかるのだ。。何かは判らないが。。

Magic seaweedウルワツ予報サイトサーフカムを覗きたければこちら

よってウェブカメラで明け方の薄明かりを通して、状況と波のサイズの見当をつけてから自宅を出ようと決める。
そのほうが道具の選択にも有利だし。
波が大きければ海は混雑しない、1時間程遅くとも問題はない。
新たにコーヒーを淹れ、入念にストレッチをしながら余分な1時間をゆっくりと過ごす。。

それで、午前6時過ぎにカメラを覗くと。。。
出たよ! False forecastだ。。ハズレ!!! 何のことは無い、、4,5ftの波がまったりと割れている。。(内心、安堵なのだが。。)
30年以上、好きでやっている波乗りだが。。
ここで白状すると、、波の大きい日は実際、誰でも本心は怖いのだ。

乗っちゃっている時は非常に集中しており、轟音もめったに聞こえない。。ただ無事に抜けきる事だけしか考えていないのだが。。

拍子抜けの一瞬、安堵も混じり、ミドルショートの板に取り替えて急いで出発する。
そして現場に着いてみると、、大波予想の為か?朝7時でも20人ほどしか沖に出ていない。
私の専門領域には誰も居ない。
シメシメだ。5-6ftで綺麗に割れている。。

4時間余り後のセッション後、更にサイズが下がった画像がこちら

長年にわたり、波乗りは朝一をメインにやっている私だが、先週から今週にかけて寝つきが悪く、午後出勤ばかりがしばらく続いていた。
よって誰かに先行されていると、どうもシックリ行かないのだ。
染み付いた習性なのか? 混戦の中、全然上手く波が捕れない。
私にとっては、やはり誰も居ない沖に一人、もしくは相棒とパドルアウトする時が一番上手く事が運ぶようだ。

沖についてみると、、5-6ftのセットが連続して入ってくる。
起き抜け、しかも昨日やらずで一日空き、、なんか不安で怖い。
これも多分に精神的な事なのだろうが、ウオーミングアップが必要だ。
押し切れず寸前でセットの連打を全て捕り溢す。。
波は、同じ場所でも毎日毎時毎波、形や性格が違うのだ。
戦略や方法を合わせないと全く上手くいかないのが波乗り。

しかも、思いのほか早く姿を現した2番手に、一部始終を全部遠くから見られたに違いなく、少し幻滅した。
世界的屈指のスポット・ウルワツでは、全世界からの腕自慢相手に毎日がせめぎ合いだ。
精神的、技術的弱みを見せれば次から波は回ってこなくなる。

でも、今ので判ったぞ。。セットの巻き上げはそんな速くないが、スピードを伸せたテイクオフでないと行けない。。

2番手の顔が見える、、最近よく姿を現す上手いビジターだ。。
視線を絡ますと同時に軽く頷くや否や、、すかさず次のセット群が入ってくる。。

これを再度捕り溢すと舐められることは必至。。
要するに、沖では国籍文化を跨いだ男同士の意地、プライド、虚勢、嫉妬、憧憬の張り合いだよ! 波乗りなんて結局。。

こっちに向かって入ってくる海水の塊が次第に厚みを増して盛り上がり始める。
4-5ftと言ってもここはバリだ。
日本で言えばレオパレスの二階のベランダ位の落差は出ている。笑
その行方を頭をフル回転させながら予想して、そして手持ちの自分の技術に合致するスイートスポットを見極める。。
そして力を入れて漕ぎ方向を合わせ、その場所から確信を込めて頭から突っ込み。。一瞬のフリーフォール。。
堕ちる―と思いきや!寸前でボードのレールとフィンが水面を捉えて安定する。。
いけたー。。っと! 午前7時半過ぎで、貿易風が強さを増すこの時期、既にかなり吹いていて波のボトムは勿論、平水面まで降りても水面にはテクスチャーがあり、、ボコボコする。。力がありスピードは速い。。
5ft+程、、悪路を速いバイクで走る様な感じで態勢が崩れそうになるが、、充分待ってから慎重にボトムターンで処理、、あとは簡単だった。
良かった、また重い板にしておいて。
先ず、300m一本。。

それから、間断を置かず波が入り順調に波数が増えていき、それを見ていたであろう後発隊も触発されて更に加わるが、とっくに先行している私の方が断然有利だ。

結局、途中失念したのだが3時間余りで20-30本をゲット、今季最多だ。
まあ、概算で間をとって25本としよう。全てロングだぞ!
300mかける25本は7.5kmか?滑走距離としてはまあまあだけど。。
待てよ、少なくともそれだけパドルバックもしている。

補足だが近年のテクノロジーの汎用化は驚きだ。
親しい知人が使うGPSサーフウオッチによると、我々の波乗り中の平均的な移動距離は軽く1セッション10kmを超えるらしい。
私等のもう一つの雨期のホームグラウンドでは15km程にもなるという。

どうりで痩せて疲れる訳だ。。
アドレナリンの為か?暫くしないと疲労感は感じないがこれを何とかしないと、、明日に響いてしまう。。
午前10時半過ぎに海から上がり、そのまま食事とマッサージにしけこんで本日のメインイベントが終了。
明日からはスモールコンディションだが修行は依然続くだろう。
今日は満足で幸せだ。