去る10月3日、あるバリ島の民間援助団体が ”Hungry Stomach Operation “と名を打ち、バリ島南部クタエリアの中心部レギャン地区にて、無料の食料配布を行ったと報道がされている。
先日、このエリアでは行き場を失くした困窮者が餓死しているのが発見されたことを受けた対応だという。

当該の地元援助団体責任者が続ける。

”このチャリティー・キャンペーンは、この終わりの見えない近年最大の危機的状況に於いて、困窮者たちが希望を持ち続ける為と、栄養失調に陥るのを防ぐ事を目標としている”

”Hangry Stomach=空腹 という名称を決めた理由? それは困窮している多くの人々は、自身で声を挙げることに対して消極的な事が多い為で、我々はそれが彼らの抱く羞恥心が関連していると考えている”

その為、このキャンペーンは単純な食料配布活動という形をとらず、担当者が彼らの元に出向き生活状況を観察しつつ、直接、食料を手渡すようにしているという。
手渡されたのはこの地方で伝統的な紙やバナナの葉で包まれた手弁当のナシブンコス。

この地方では極めて一般的なナシブンコスの露店に群がる労務者達。(ナシ=米飯、ブンコス=持ち帰り)一食当たり数百円で足りる庶民の日常食

早朝も関わらず、何処でも手軽に入手できるのが魅力のナシブンコス。額面通り持ち帰って開けるとこうなる。現地では敬虔な波乗り修行僧でもあり、同時に外国人である私にはナシブンコスだけでは、熱量的にも栄養学的にも到底、必要量を満たせない。画像のように一度に2~3人前を摂るようにしていて、後にちゃんとした文明的?な昼食か夕食を摂ってそれらを補うようにしている。私の西洋人の友人達には、それらがまるでドックフードの類に見えるらしく、私の正気を疑っている。

その様な配給食を配布しながら、繁華街の裏通りにあるインフォーマルな低所得者層が多く住むスラムに入って行き、同時に無料のマスクの配布も行っているという。

伝統的な地元コミュニティが色濃く残るバリの社会。。その為、非常事態時は何らかの互助関係が成り立つことも多く、それが一種の社会的なセイフティーネットになっているとも聞くが。しかし、外島からの出稼ぎ出身者にはそのような恩恵は届き難い。彼らにとっては当座の帰省資金が尽きた途端、孤立無援になり易いのだ

団体関係者は続ける。

”島内に多く居住するインドネシア各地からの一時居住労働者たちは多い。
今回のパンデミックを受けてその多くは生活の糧を失っている。
バリ島の繁栄を陰で支える彼らの安全も、我々バリニーズの責任だと考えている”

貧しい地方の寒村から、通常、着の身着のままでバリ島に建設労働の職を求めてやってくる若年労務者達。彼らの根城は違法に野原に作られる急ごしらえのべニア製のバラック。勿論、電気水道は無く、その環境はさながら現代の労働収容所。。それはパンデミック時にはコロナウイルスの培養皿そのものになってしまう

大統領選直前の合衆国大統領でさえも感染してしまった。
WHOによると世界人口の10%が既に感染している可能性があるというが。。
どうやらコロナウイルスからの逃げ場はこの地上から失せてしまったらしい。
ワクチンが広範に行き渡るまで、なんとか逃げおおせたいものだ。