観光立国のタイがその国境を事実上、閉じてから既に6カ月近くが過ぎている。
聞くところによると、パタヤ市は世界で19番目に多くの外国人観光客を集客する街だとも言うが。。
そのパタヤの娯楽産業が瀕死の状態に陥って久しい。
シャドウ経済を認めようとしないタイ政府に歩調を合わせるように、パタヤ市当局も決して同意しないであろうパタヤのアイコン・ウオーキングストリートのGoGo Barなどは、既に2/3近くが現在、閉鎖されているという。

2か月以上に及んだロックダウンに伴う業務閉鎖命令も7月1日から停止され、晴れて営業再開が許されているにもかかわらずだ。。

その理由は?
それは単純に業務の遂行に見合うサイズの市場の消失だ。
そして娯楽産業のそのものの崩壊。。
現地メディアの伝えるところによると、その証左は街の至る所に見受けられるという。

私が最後に見ていた3月末のパタヤ市内の様子で既にこの有様。。最も、当時は閉鎖命令に伴う閉鎖だが。。。あれから半年が過ぎた現在は如何ほどか?

例えばサウスパタヤロード沿い等では、目視による外観で3割強ほどの店舗が、一時的もしくは永続的な業務停止に陥っているとのこと。
比較的に不況や逆境に耐性のある業種と言われるマクドナルドやセブンイレブンでさえ閉鎖されていて、今ではその廃業した店舗敷地内には時折、ホームレスの姿があるという。
そんな街に果たして観光客が戻ってくるのだろうか?

そんな危機的な状況のパタヤで、先週、地元の観光産業のみならず不動産業、交通運輸事業者、小売り事業、更にはインフォーマルセクターに類する業界団体等の周辺事業者までを含めた代表者会合が持たれたと現地メディアが伝えている。

それによると、事業者達も政府が薦める国内旅行促進事業などの対応策を認めつつも、その効果は限定的に過ぎず、とても市内に存在する様々な事業を下支えするには圧倒的に量と規模が不足していると。
根本的な外国人の旅行者の入国の拒否を辞めない限り、市内に20万人とも30万人ともいわれる関連産業従事者が、この先存続していく術は無いだろうと述べたとされる。
そして、この状態が続くなら、程なくしてパタヤ市からの人口の流失が始まるだろうとしている。

パタヤ湾沿岸に突如として現れる光輝く観光都市パタヤ。郊外には未だに長閑な田園や耕作地が拡がり、その繁栄をより際立たせている

寂れた漁村から始まったパタヤ市の繁栄の歴史は、半世紀を経た現在でも依然として人々を惹きつけて来た。
具体的な数字は覚えていないが、コロナ騒ぎの直前まで前年比で35万人増の旅行者がパタヤを訪れていて、それに加えてタイ国内外からの在住者の数も増加していた筈だ。
まあ、言ってみればタイ政府の掲げる東部経済回廊の発展を地で行くような街だった筈だ。

国内主要3空港を接続する高速鉄道網敷設計画、遠く中国南部やベトナムから続く物流路網の整備、パタヤ市内の都市鉄道建設計画などの大型建設プロジェクトも目白押しだ。
パタヤ市に関係する都市整備計画は、現在の所は4期に区切られていて、4期目の終了時期は確か2037年を予定していると何処かに載っていた。

その発展基調著しいパタヤから人口流出だと???
その不吉な見通しが現実となり。。
そして人が実際に居なくなれば、その先は火を見るより明らかだ。。
その時は、例えワクチンが出来ようと国境が再開しようと、もう我々は年間1000万人を超える外国人旅行者を迎え入れることは不可能になる。。

広義の観光関連産業、例えば、LCC等の航空産業、語学学校などの教育機関、外国人を対象とした総合病院や歯科、美容クリニック等も、一度、廃業してしまえば人材流出によって事実上の再起は不可能。。
まだしも路上の屋台や送迎ドライバーなどの低熟練労働従事者なら、人員さえ呼び寄せることが出来れば、営業再開にこぎ着けることは差ほど困難では無かろう。

しかし、6ヶ月間から1年間ほどウーバーイーツのバイクを運転していた旅客便パイロットの処遇となれば話は別だ。
暫く地上に留まりご無沙汰していたパイロットの操縦する定期便で、成田からスワンナプーム空港まで飛行機を飛ばすのには、それとは違う複雑な問題が生じる筈だ。

2019-20パタヤカウントダウン。もうこんなパタヤには2度とお目にかかれないのかもしれない。。僅か、9か月前。。あの時は誰一人、本年度中にこんな世界に様変わりするなどと想像できた人はいたのだろうか?

開けなければならないのは判っているが。。。
このジレンマは現在、世界中の政府が首までドップリと漬かっている。。
観光業がGDPの多くを占めるタイやバリ島などに残された時間的猶予はそう多くないという事らしい。
残された時間は幾ばくか?
私には皆目見当もつかないが。。
それはきっと、世界人口77億人にワクチンが行き渡る前にタイムアップになる様に想う。