万を期して挑むつもりが、、目覚ましを掛けていたにも関わらずに寝坊。
目が覚めた時には朝の4時20分、普通より一時間遅い。
それでも何とか急いで6時前に現場到着して薄暗い中、海況を見てみると。
5-6ft、、そんなに大きくないように見える。
ほぼ、毎朝一緒になる友人のトレバー・マーフィー氏は、いつも通りに熱いコーヒーを片手に、4-5ftだと呟く。
この辺は、当事者の出身地による文化的な差異が生じる面白いとこだ。
男性は強くあるべきだという強い信念が定着している西洋では、波のサイズも実際より、小さく言う傾向があると私は踏んでいる。
結局、いつもみんなで騙し合いなのだ。
4-5ftだっていうから、そのつもりで沖に出ると。。
驚愕の7-8ftのセットが入って来て、逃げ回る羽目に陥る仲間を隣で嘲笑うのだ。
その手には、のらないぞ!トレバーめ! そんなことより、いつになったらその熱いコーヒーを俺にも一杯、買ってみる気になるんだ?
それに一体全体、朝の6時前に何処からそれ仕入れてくるんだよ!
そんなトレバー氏は、マサチューセッツ州出身のサーフフォトグラファーでその世界ではソコソコ名が通っているような気もする。
水中ハウジング、ドローン、各種機材を活用し、絶えず機材に悪戯を仕掛けようとする、ウルワツの馬鹿猿との攻防を繰り広げながら撮る彼の画像は非常に美しい。
興味があれば、彼のインスタでも覗いてみればいかがか?
こちらからどうぞ。大分わき道にそれたが波情報に戻ると、比較的楽に沖に出れて、6時40分にこの日のセッションをスタートする。
風はまだ無い、ほぼ無風でグラッシー。
たいして間を置かずに最初のセット群が入ってくる。
やはり5ft程かと思いきや、、その裏に更にハッキリした筋が見える。
あれー、5じゃない、軽く6ftだ。
板がちょっと足りない気もする。。
それと、2日間の休み明け、感覚の再起動が必要で漠然とした怖さが頭をかすめる。
種目領域を問わずプロアスリート、アーティスト、または軍隊や治安組織に従事する人達が、ほぼ毎日欠かさずに練習鍛錬をを繰り替えすのは、きっとこのような事なのだろうと思う。
建設的な休息はもちろん必要だが、無為に何もしないと知覚や感覚の減衰が必ず起きるのだ。
短時間なら短時間で戻るが、それでも難儀で歯がゆい思いをすることになる。
それならいっそのこと多少疲れていても、続けて研ぎ澄まされた感覚を維持しておくほうが、反って楽なように思う。
それで、その時の一番大きいセットは位置の悪さと気持ちで負けてスルー。
朝から早々に負け犬なったのは自分が一番知っている。
傍から見れば妥当なスルーだったかもしれないが、自分では押せば行けたのは判っているのだ。(何故なのだ? 準備が出来ていない時に最良の波が来る、、謎だ)
軽い自己嫌悪の余韻を20秒余りで噛み潰し、次のセットに標準を。。
幸い、先程のスルーで感じが戻りつつあり、次はダメ元で突っ込むのを決める。(先日も似たパターンだったな、結局、人間の主観など毎日同じなのだ!似たようなことの繰り返しだ、人生なんて。。)そして次のセット、、チャンとした綺麗な波だが3000kjで巻き上げが強く、波の上部まで挙げられてからやっと板が落ち始める。。
2階の窓から外を覗き見る感じにそっくりな瞬間、サーファーなら判ると想うが、ここが事実の一瞬なのだ。
ここが行くか思い留まるかの境目で、突っ込んでしくじればウルワツの3000kj、6ftのシークレットのセットだ、こっ酷くやられる。
人によっては2度と姿を見せない人も居る。笑
そして首尾よく行ければ、やってて良かったと心底実感する、それだけだ。
で仮にテイクオフでコケることになっても、足の関節だけは壊さない様に、足首と膝関節を正対ポジションに向けながら、若干の斜行テイクオフの角度に合わせて、後は己と手持ちの経験を信じてやってみたところ。。
板を横に向けた分だけ滑り出しが遅くて一瞬、ウソ?これ行くの?って正直想った光景になる。
しかし、既にその時は No point to Return..後戻りが効く地点を過ぎていて、途中でやーめた!の選択肢にはない、大コケかメイクかのどちらかだ。
それで結果は行けました、、お陰様で。
私のとるに足らない些細な自信も少しだけ戻りました。
先ず最初の300m、6ftはでは、あまり長く乗り過ぎるとインサイドで強制退場になるので、ほどほどにしておいた。
それでも、親しい友人たちから声がかかったので、そこそこの見物だった筈だ。
すみませんね!いつも危なっかしいテイクオフで。
アンタっちみたいに体重が100㎏近くもないし、リーチも板もごく短いのでどうしても遅くなっちゃうんだよな。足りないとこは、センスや技量、それか度胸かなんか、(要するに、なんでも有る手持ちの物)で補填する他ないのだ。
生憎、私にはどれも満足に持ち合わせていない様だ。
あるのは、アジア人特有の忍耐と、10年以上のこの現場歴だけが私のカードだ。
今朝も同様にその波を見ていた輩達が5名程移動してきたが、大部分はそれから2時間乗れずに帰って行った。はは
時期柄か? その中に同胞が2名混じっていたな。
やはり、6ftになると優位性は我にあるようだ。
一見さんには無理だろう。(常駐の知人たちは別だが)
それから気を良くした私は、同様に次のセットを行ったのだが結果は凶に。
全て上手く行ったと想ったのだが、、最後に目にした光景は崩れる前の綺麗な波のフェイスに背中を下にして堕ち、薄暗い空が一瞬見えた。
そこからは全身に、無論、瞼もだが、、、力を入れて息を止め、防御姿勢をとって祈るだけだ。
なんだ、大した落差じゃないと想ったのを覚えているが、そこからはホームランだった様だ。
一部始終を視ていた若いサーファーが寄って来て、同情と驚嘆の表情を浮かべながら説明してくれた。
落水したところにちょうど6-7ftの波のリップが落ちてきて、空中高く再度放り投げられてたと言うことだ。
なるほど、酷いインパクトの後の長い妙な浮遊感はそれで説明が付くな。はは
そのまま、ラインナップに戻る私に大丈夫なのかって訊いてきたが、板もりーシュも特注品だから平気だって答えておいた。
彼はそれから帰ってしまった。はは
まだ、早かったその時は、、8ftとは言わないが、客観的に見て6ftじゃないなってとこだった。
もっとも、直ぐにそのセットは来なくなったが。。結局、その朝は3時間で約10本、常駐組は珍しく我々を除いて現れなかった。
そうなれば私の方がまだまだ優位性はあるらしい。
良かった!まだまだ続けられそうだ、終わりはまだ先の様だ。