最近、タイ当局によって首都第3空港に位置付けられ整備が進むウタパオ空港をよく利用する。もともとベトナム戦争の頃に米国空軍の戦略空港として始まった経緯を持つ4000m滑走路を備えた軍民共用空港だ。現在でもタイ国軍の管理下にもあり軍施設内を通り旅客ターミナルへ向かうたびにいっときこの空港のルーツに想いを馳せる。当時を物語る有名な写真がこちら。

北ベトナムに出撃を繰り返す爆撃機なのだろう、パタヤの街自体の生い立ちと重なるのは周知の事実だ。近年では湾岸戦争の頃に補給基地としてタイ政府が米軍に協力したとの記録もあり、また個人的な経験では2008年の前代未聞黄色シャツ隊によるスワンナプーム国際空港占拠事件の時に私の知人だったのだが、(私も危なかったが幸運にも事なきを得たが。)行き場をなくし成田に足止めされた米国発タイ国際航空バンコク帰国便がある朝に一便だけほぼ隠密に急遽出発しウタパオに降りた経験がある。まだ本格的に民生利用される前の話でパタヤ在住の知人は非常に感謝していた。現在のウタパオ空港はチェンマイ、プーケットなどのタイ各地主要国内路線、中国をはじめに南アジア方面の国際線乗り入れ進んでいる様だ。

滑走路は長く一級レベルでも旅客ターミナル施設はやはり貧相で特に中国本土直行便出発前などは旅客が屋外にあふれ出る事態に。一瞬途方に暮れるがめげてはいけない。近くの係員に言って中国人でないことを告げて対応してもらおう。彼らからすれば日中国民など通常見分けがつくはずもなく、中国本土行き便客と同等に扱われ自便を乗り過ごしてはいけない。この程度の施設じゃ、そりゃ混むわな! あなたの過失ではない。

旅客集中による業務混雑と利権ビジネス全開の空港タクシー、(1000thb以上の料金設定で、公共タクシーは乗り入れていないので慣れたパタヤ修験者は馴染みを準備したほうが良いと想う。)を除けば所要40km、40分程の小さい空港なのでむしろ利便性は高い。ラウンジはこれで、いっちょ前なのはビールの値段だけだ。笑

混んでいなければゆっくり静かに国内線感覚での国際線利用でサクッと出国、ルートによるがBKK前泊など煩雑な対応をさけられるのはパタヤ巡礼者にとり嬉しい限りだ。下はサタヒップ方面を望みながらの離陸、パタヤを去る時に毎回後ろ髪を引かれる想いなのは私も皆さんと同じだ。涙

この時はKL便だったがここで補足情報を一つ。東南アジアを手堅くカバーするAirAsia、彼らの言う point to point、2地点単純移動の方法を繰り返すことにより最終的に目的地にたどり着く概念で私も頻繁に主要空港を通過する。経由のたびに空港施設利用税、出入国税、保険等、その他避けられない経費が色々かかる。しかし、最近だがシンガポール空港を経由した場合の経費が突出しだしたので注意が必要だ。付近の空港経由の場合より明らかに高く、数時間の乗り継ぎであっても滞在客と同等にかかるのではないか?選べるのなら他空港のほうが財布には優しいかと。その代わり利用してみて驚いた。まるで近未来映画のセットのように全部全自動、空港職員も英語ネイティブ話者、高等教育を受けた頭脳明晰な都市住民で、質問が終わりきるうちに正しい答えを喋りだす。小怒 ハイハイ、私は間抜けな旅行者ですよ、あなた方の先駆的テクノロジー、先進システムにはまだ不慣れないけすかない、哀れな他国の者ですが、どういうわけかAirAsiaのアプリに接続できません。(アクセス集中だと想われる、そりゃそこにいるAA利用旅客ほぼ全員がアクセスするんだからな。最近のwifi整備に油断せずにスクショをとっておこう!)したがって次の自便フライトナンバーすらわからない大馬鹿惨めな乗り継ぎ客です。卑しいトランジット客の分際でお手を煩わせてまことに心苦しいですがどうかお助けくださいと頼む羽目に。で、若い美形info嬢が軽い軽蔑の眼差しを極一瞬みせながら完璧な英語で指さしながら、簡潔、手短、明瞭、かつ冷酷にあちらのマニュアルチェックインのセクションへと。そこは何らかの理由で自動処理システムに適合できなかったチャンギ空港当局からすれば残念な旅客どもの吹き溜まりと化していて、たった2つの稼働ブースは既に長蛇の列。担当員も先程の美形カウンター嬢とは対照的な職員配置だ。まるで難民認定手続き申請中の二級市民のような気分を味わえた。なかなか冷たいなシンガポールよ! しかもこの経験に8千円くらいかかっている。

国のサイズが非常に小さい開発独裁国家ともいうべきか?この国ならではの強権スピーディー効率優先行政のなせる業か。まあアジアの近未来を体現しているのは間違いない、興味のある人は訪れてみるのも一考かと。

話を戻そうKLに当たり前だが無事着陸、(馴染みのCAさん曰く、航空機は統計上で一番安全な乗り物で、乗り合いバスなんかの方が何倍も危ないのが事実だから、乱気流なんかなんとも想ってはいないと。恐れ入ります。)ここも大きい近代ハブ空港だがもう少し人間味を感じるのは私だけか?でお約束のお酒物色を。イスラム教国は一般に酒税が高いです。お飲みになる予定の方はここで買われるのがよろしいかと強く想います。

でこれまた割高?ガラ空き豪華KLエクスプレスでKLセントラルへ。

最近、当国際空港での他国諜報機関による要人暗殺、前代未聞の国営商業旅客便行方不明、または同社便紛争地上空通過時撃墜事件、AirAsia便墜落、前首相が訴追され、高齢マハティール元首相が返り咲き、税制変更で消費税を廃止、通貨安も止まらない問題ばかりのマレーシアだが首都は普通に繁栄を謳歌している。

パタヤからKL市内までの順調な移動だったが最後に罠が待っていた。うさん臭さでは必ず上位にランクインのKLタクシー、セントラルからホテルまでどうするか。近年開業したMRTでも話のネタに使ってみることに。うーん、KLセントラルもかなり大型化していて、急増する都市交通が多く乗り入れていて複雑怪奇だ。バイタクの国、ウタパオから来たパタヤ侍には軽くショックで、いかん、早く頭を都市生活モードに切り替えなくてはと感じる。ぱっと見、名古屋駅くらいの規模でしょうか?で最寄りの駅、お約束ブキットビンタンエリアで降車でどうする。アプリによると歩けない距離でなさそうなのでスーツケースを引き歩いていくことに決めた。通常断じてやりませんよ、この手のこと。皆さんも経験あるでしょうがgoogle mapでも全然迷う、特に都市部。後悔しながら20分近く歩きホテルまで200m位の同一道路上をここまでくればと安心しながら歩いていたら一台の警察車両が傍らに停まり待て合図 汗。焦ってはいけない平静に、何も瑕疵はない、公正な法治システムがあればな。で、最近のマレーシアはどうだ?どっちだ?シンガポールよりか?それともインドネシア、タイよりか?

判断が付きかねるがシンガポールは分離独立以来50年余り、初代首相リークアンユー氏の指揮のもとで、地域イチダントツで発展してあのレベル。公務員、警官はちゃんとやってくれます。汚職に対し厳しいシステムと公務員には相応の対価を払えば汚職は起きにくいとの理論で作られている統治システムでこの地域では異色だ。下は定番悪名高すぎ御存知インドネシア共和国の警察官。悪

市街地とはいえ夜道、徒歩時は抜けめなく注意は怠らない私。数分前に追い越し通過していったパトカーが一周して戻ってきやがったことにすぐに気が付いた。で考えられるケースは2つで、シナリオAがスーツケースを引っ張った迷っていそうな哀れな旅行者を助けるために戻ってきた正義感あふれるお巡りさんの鏡。シナリオBが見たところ無力無害でチョット苛めて脅して出来るだけ多く金でもむしり取るには格好のカモだと思っているまるで猛禽類のような市民の敵、この地域では標準の悪徳警察官。で停車し、助手席のウインドウを開け何やら言ってくる。降りても来やがらない時点でシナリオBにスピード決定。インドネシア語と兄弟言語であるマレー語なので簡単なことはなんとなくわかる私だが、全く解からない振りを瞬時に決め込み英語で友好的に挨拶を返し平然と***ホテルに行くのですがこの道であっていますかと逆に聞いてみる。運転しているほうの警官はみたところまともっぽくこっちの言っていることを理解したのを私は見逃さない。そうだ、もう、このまま200mも行けば目的地だ。だが、手前の方がトレードマークのチョビ髭で顔からして悪人顔の悪徳警官そのものでどうやら今夜は善悪混成チームのようだ。インド滞在経験が長い知人に聞いたところあの手のチョビ髭はこの地方では権威の象徴らしい。笑

さあ、どう出るか?短期滞在で没収されると厄介なので標準手順ではないがこのままでは済みそうでないのでパスポートを自分から提示して2時間前に着いたばかりの短期滞在客だと言ってやり出国便予約もスマホで見せる。悪人顔の方が一瞥するがどっちも吟味するふりなのを私見逃さない、同時に落胆の色も一瞬。善人顔の方は異状ない、もう行こうの頷き素振り見せ始める。ここで終わりと思いきや何の皮算用をしたのか諦めきれない顔の悪人顔。バックの中を見せろと、何も怪しいものはないが逆に何か入れられるのが最も怖い結構なピンチに急速に向かっているようだ。これも避けたいが冤罪に陥れるよりかは単なる嫌がらせの低能警官なのは既にお見通しなのでバックを開ける前にKL到着便情報、ホテル予約バウチャーを見せつけて何が問題なのだとごねてやる。こっちの言っていることは一つも瑕疵は無く、善人顔の方は諦めて早く行こうと相棒に合図するが悪人顔はまだ諦めきれないのかこのホテルはこっちじゃないとブラフを噛ませてきやがった。ここまでやるか?あんた警官だろ?こうなると結構危険な状況で頭の中で新たなシナリオを急いで組み立てる。大使館?予約?通りでのスーツケース検査等、面倒臭いことになってきた。助手席から身を乗り出して少しだけ開けたキャリオンバックのジッパーに手を突っ込みかき回すが元々まともに検査するつもりなどサラサラない。こっちは何も入れられないように凝視するだけだ。(馬鹿者が!ネックピロをこねくり回していた!笑。そう親愛なる読者の皆様、長文になりがちな当ブログですがこのトピックで言いたいのはF1も開催できて、なんちゃって先進国手前まで来ているマレーシア、きらびやかに発展した首都KL、でも警官はまだこんなレベルだったのです。全体像とは申しませんが、先進国出身の我々が想像するものとは同一では決してありませぬ。何かの時の為に是非覚えておいて損はないと想います。筆者。)動揺するそぶりも見せず***ホテルはあっちじゃない、こっちでいいんだろってgoogle mapを表示し顔の前に掲げてやる。一体、どっちが尋問してるんだ?笑 で追い詰められた悪人顔がscam の一言。直訳で詐欺、犯罪まあ、そんなところだ。ここが正念場で、決して怒らせてはいけないが毅然さが必要な瞬間もある。はったりの弱さで憐れみを誘うやり方もあるが見極めに決まった方法はない。ここは毅然とする場面だ、この薄ノロ悪徳警官、KL出入国便のAA予約情報も読み切れていなかったので海外渡航経験もない低能無学強欲野郎なのは間違いない。シンガポールではないので低給で普段からこうして市民から金を恒常的に巻き上げているんだろう。はっきりした発音で強めに何がスカムなのだ?何のことなのだと直接アイコンタクトで言ってやった、そう、微動だにせずに。優に1秒間か。(どっちがscamだ 糞野郎! お前がその物だろう!多分、本人もそう思っている筈だ。笑)で、遂に折れてとうに早く行きたい顔の運転席の善人顔相棒の方に向いて頷いて終わろうとの合図を。

ふー、、危なかった。。奴らが消えてから安堵のタメ息だ。。気を変えて戻ってこられたらたまらないので急いで歩き始めホテル内へ避難する。一発で当該国に対する個人的な評価、印象の悪化した出来事だった。

それにしても当初、2020年までの先進国入りを目指しているマレーシアだがこんな警官がのさばっている様じゃまだまだなはずだ。公正な法の執行は最終的な経済発展の基礎中の基礎だ。法執行官がこんなんじゃ安心してこの国に投資なんかしてられんだろ。首都はきらびやかで一見繁栄を謳歌しているが、リンギは東南アジア通貨の中でルピアと並びパフォーマンスが悪い通貨だ。こんなところにも理由があるのかもしれないのではないか。パタヤ~KL間、近距離移動だとタカをくくっていたが普通に疲れた半日だった。