昨晩のことだが、年越しの激戦疲れが尾を引いてあまり食欲がないので食べたい物が想いつかずに街を流していたところ、普段は前を高速で通り過ぎるだけ、餌場の漁場として対象外の界隈に何やら明るく人が集まっている店舗が有るのに気が付いた。

店舗正面が、原色ネオンが輝き子供連れや女性がたむろしている。
直感が間違いなく何かしらの良店舗だと告げる!
完全な一方通行の幹線ノールパタヤロードだが、歩道を逆走し戻って確認する。(この辺りの緩さが心地よい東南アジアだ。。)

カノム(タイ語で甘み菓子の意)ウワンと言う領域だ

ネオンに惹き寄せられる蛾のように近づいてみると、黄金色のタイ産マンゴが神々しく輝いていた

カオニャオ・マムアン店だ!いや、それだけではなくカノム・ウワンもある。。
カノム・ウワン、中華系ルーツの糖蜜のようなローカルスイーツ類の総称。
よくタイの市場などで目にする類のもので、チョコレート一点張りのファラン系デザートとは一線を画す上品な甘さが魅力で、私はよく好んで食している。

タイの定番デザート、カオニャオ・マムアンは(マンゴと糯米ココナッツクリームかけ)当ブログでも何度も登場している

あまりよくない画像だがご勘弁を! 豆、寒天ゼリー系、麦類、タロイモ、ココナッツ類などが主に原材料として使われている

当然、試してみることにする。
店舗内に席を確保し、改めて外へ出て物色を開始する。
非常に多くの品目が有り、元々それらが好きな私は迷いに迷う。

メニュー看板を見る限り取り扱う品目は多く、何度か通わないといけないだろう

ローカル客も決めかねている様。そりゃそうだろう!色とりどりに輝いている。何処かの文化と違い、細かい決まりはない。自由にカスタマイズを頼もう!

暫く逡巡してから、熱いモノと冷たいものを一つづつ選んでみた。
看板をみるとその殆どに当然個別の名称があるのだが、しょうの無い私には読むことは出来ない。

冷熱混成デザートと相成る

左側が熱い生姜シロップの中に淡い黒胡麻団子が浮かんだブアローイ・ナムキン(多分!)、右側が仙草ゼリーのかき氷合え

食べてみると、、ブワローイの方はクラゲの様に柔らかく甘過ぎずちょうど良く、辛めの強めジンジャーフレーバーが程好く絡んでこのデザートが本来意図する仕上がりに。
対するグラスゼリー(仙草の黒いゼリーは台湾などでもよく見られる物)のかき氷載せの方も無難な仕上がりだが、個人的にはもう少しゼリーに歯ごたえがあってもと感じた。辺りを見回すと客層は100%ローカル。一般にファラン客はこのようなアジアンスイーツには食指を示さない。
地元民たちがどこかで食事を済ませ、ここでデザートの別腹を満たすために来ているようだ。
食後の緩やかな談笑タイム、観ていてなんだか穏やかな幸福感が感じられる。。
洋の東西や歴史を問わず、きっと普遍的な幸せとはこのような事なんだろうなと想ったりする。
いつでも経済的や物理的にも腹一杯食べる事が出来る状況で、食後に甘みも付けて家族または友人とゆっくりと慌てず過ごす時間があるという事。。
駅のホームで立ちながらは噛まずに牛丼をかっ込んで呑み込み、足早に立ち去るなんて私は嫌だ。。

店名はCheung Sim Dessert…店内には色々な掲示画像があるが内実は不明だ。

ニュースによると、現時点でタイバーツは6年ぶりの通貨高に推移しタイ経済はその影響に喘いでいるという。
私がタイ王国に傾注しだす10年程前までは、根強い貧困問題が随所に山積していたのがこの国の姿だった筈なのだが。。
今では、コーヒー一杯の値段が物価高で有名だった我が国のそれの2倍以上の値がついていることも。
時が移るとはこのような事なのだろう。

店内には色鮮やかな中国寺社のデコレートが。。この国が華人の土着化の成功例ともいわれているのが頷ける

店内にはド派手な中国寺の祭壇?が、このカノムのルーツを強く主張している。
ここでも中国なのか。。
というかあまり大きな声では言えないけれど、、我が国も然り。。

これについては緒論異論やイデオロギーは色々とあるだろうが、大体我々自身が彼らの文字を読めること自体に疑いの余地が無いように私には思えるのだが。。最後に所在を挙げる。
ノースパタヤロードのパタヤ・バスターミナル手前の通りを挟み反対側。
ちょうどガソリンスタンドの対面あたりになる。

グーグルマップには、Chueng Sim Dessertと出ているのでそれを頼りにしてほしい。
この交通量の激しい通過エリアでカノム・ワン特化店がどれだけ存続していくかは不明だが、昨夜見た限りではソコソコの来客数はあるようだ。営業時間は、朝10時から夜の12時までになっている。
隠れた地元グルメ良店が無数に点在しているノースパタヤやサードロード付近で食事をすることがあるのなら、そのダメ押しにローカルスイーツ体験に足を運んでも悪くなかろう。