先日、サウスパタヤでの所要に向かう時に主要交差点を避けるために多用している裏路地に入った時の事。。
通常、これらのローカルな居住区には地元民を対象にした洗濯屋やサロン系店舗、飲食店、観光産業でない業務関連店舗などが並んでいるのだが、前方に突然何やら見慣れない白い物体が現れた。
近づいてみて度肝を抜かれることに。。。眼前に繰り広げられる光景を認識出来た瞬間にすべて理解できた。。
ムーハン製造現場だ! こんな居住地のド真ん中だが。。
ムー(タイ語で豚の意味)ハン=飯、、豚丸焼きのご飯と分かりやすい。。
目の前には真っ白くて死後硬直した中サイズの豚が5頭ほど、無造作に台に載せられて、民家の軒先で水洗いされている。。
なんかこう、、ちょうど子供の自転車でも洗っているような感じだ。。

流しっぱなしのホースの水を直接掛けて洗車のようにゴシゴシと念入りに擦っていく。。タイの水道水は飲用には適さないが、そこは勿論マイペンライだ。。

驚いたのはその色。。
もう殆ど純白で、体躯の部分はまるでクリームのように白い。
豚ってピンク色でなかったか?
最初、遠目で見たときは何かのオブジェか張りぼて像を洗っているとのかと想ったほど。。
バイクを停めて挨拶して撮影の承諾を得てから話を訊いてみると。。台から滑り落ちてしまい、連れ戻される犠牲者ここにある豚は、屠殺時に開かれて完全に血抜きをして冷蔵保存されていたものだという。
供給元でそのプロセスを実施してから、此処のような調理業者の元へ運ばれてくるらしい。
それらをここで調理をしてから、最終的にエンドユーザーへと向かうとのこと。

ムーハン製造シーン

豪快に掻っ捌いてから時間をかけて不要な部位を取り除き、ハーブ等で下地をかけていく

時は狂乱のクリスマスを過ぎ、更に乱痴気気味に盛り上がる屈指のパーティータウン・パタヤのニューイヤーに向かう時期。
大晦日の定番パーティーフードとして、パタヤ中のバーやその他エンターテインメント系・エスタブリッシュメントからオーダーが集中しているという。
大体、これらの標準サイズの豚で価格が4-5千バーツ(1万7千円程)に設定されている。
ダックスフンド程の子豚サイズで2千バーツほどらしい。笑

綺麗に整えられた犠牲者達だが、この後に調味料やハーブ類などで下拵えされていく

暫く作業を見ていて思ったのだが、現場や周囲には全く匂いもハエなどの害虫類なども皆無。
無論、体液や血液の痕跡なども見当たらない。
入念な洗浄と準備作業プロセスの賜物なのだろう。
ちなみに私のもう一つの活動域であるインドネシアバリ島にも、バビグリンという豚の丸焼きの食文化がある。

バリ島のバビグリンでは、豚を切り開かずにそのまま杭を突き通して時間をかけて炭火の上で廻しながら炙り焼き上げる

興味を持って長々と観察していると、日本には有るかと訊いてきた。
我々の国には無いが、インドネシアにはある。
しかし、説明にバビグリン画像を見せながら此処とはやり方が違うと応える。。
そしたら彼らは、開かずにそのまま焼くなんて、、と驚いた表情を。。
開かなかったら洗えずに、匂いも色々ある内容物も取り除けないはずだ!
考えられないと怪訝な顔をして言う。笑
そして香草や秘伝のタレを使ったプロセスに入っていく。。
親切にもその辺りに自生しているレモングラスなどのハーブ類を千切り取って説明してくれた。

わざわざ買いに行かなくとも現場周辺に自生している。。千切ってみると何とも良い香りが辺りに漂う。。色々と豊かなタイ王国、羨ましい限りだ

下拵えが済んでくると今度はいよいよローストのプロセスの準備に入る。。
慣れた手つきでグリルを用意して炭火を焚き付けて。。。

ドラム缶を使ったグリルにヤシ系の炭をくべて。。ゆっくりと長時間炙っていく

見ていて想像していると無性に食べたくなってきたので、どこか小売りしているところはないかと訊いてみた。
以前は一皿150-200バーツ程で供する店舗もあったのだが、残念ながら最近はもうないという。。
今では祝宴などイベントで出される純粋なパーティーフードとなっているらしい。地元の居住区に突如現れた食肉加工場そんな訳で突如、目にすることが出来た文字通り地元B級グルメムーハンの食肉加工場の紹介だったが、年末年始を利用し訪タイして市内各所のバーなどで武者修行に励む予定の人達も多いだろう。
最近、視た統計情報では年末に邦人観光客が訪れる世界の都市トップ10以内にパタヤが堂々とランクインしている。
もし、これから始まる途轍もない乱痴気騒ぎにムーハンなどが振舞われるのなら、もしかしたら此処の豚どもかもしれない。。
目にすることがあれば一瞬、想いを巡らせて笑ってみてほしい。