波乗り天国のバリ島。
年間を通しローカル・ビジターを問わず、無数のサーファーが毎日波に乗る。

クリティカルな位置から果敢にテイクオフを試みる友人のJ氏。ウルワツ・シークレット

ここでは波は基本毎日あり、出来ない日を見つけるほうが難しい。
よってサーファーとしての稼働可能日数は馬鹿げたレベルだ。
私個人の場合で、覚えている最長連続稼働日数は21日間。。
まだ体力のある10年ほど前にやった記憶がある。
サーフィンと言っても、輝く太陽、白い砂浜、大勢のビキニの美女だけではない。それらも勿論、漏れなくついては来るのだが。。
ちゃんとやろうとすればする程、他の厄介な弊害も沢山付いてくる。自身の身体は勿論、直接、間接的道具を含む物理的資産、社会的資産、果ては精神的な健全性までもが疲弊していく。

ハードコア・サーフィンはブルータルと言われる所以だ。
(Brutal=野蛮、残忍、冷酷、凶暴、激しいと訳されることが多い。。。)

つい最近、ウルワツボミーズのヘビーなワイプアウトで減圧症を発症したケースを聞いた。

(嘘だろ! 水深10m以浅では発症しないとされている、体にかかる急激な圧力の変化によって血中に生じる気泡が引き起こす障害。非常に重篤な症状を、時に致死性でもある)

波は何でも我々の元から、さらって行ってしまう。
板やレッグロープ等の身に着けている道具類や、腕時計、ピアスやネックレスなどの装身具、 (ピアスは耳たぶを引きちぎって)

挙句の果てには海パンやビキニまでもだ! 笑
(実際に複数回、目撃したことがある! 悲劇であると同時に喜劇にもなる。。)

私の場合では身体組織の一部分、視力聴力などの身体的健全性も。
友人のケースでは、パートナーや妻、家庭や子息、仕事やキャリアなどそれらに付随する社会的ステイタス、金銭的資産までも波に持っていかれた経験が。。このように数々の多大なコストを強いるハードコア・サーフィン。
最大の予防策は、ご利用は計画的で、、これしかないのだが。。

それでも生じる多くの不可避な損失に対しては、当然穴埋めをしなくてはならない。

新品の板を誂え、気分も新たにスマトラの波に挑んだ友人P氏。気の毒な事に最初の波にありつく前にボードは真っ二つ!

人間社会関係の損失に対する穴埋めについては他の機会に触れるとして、今日はサーフボード関連の損耗に対応できる物件についてを紹介しよう。店舗名は不明、地図ではKMSサーフボードとなっていて、電話番号は見ての通りで、08563836925となっているようだ。
営業時間や定休日は彼らの気分次第、訊くだけ無駄なこの島では普通のやり方である。
所在だけはハッキリしているので上げられるが、パンダワとグリーンボールの間になる。

店舗外観は見ての通りで見るからに典型的なサーフボード工場。
営業していれば、周辺にスタッフや客の姿が見える筈だ。業務内容は、修理一般、カスタムボード、フィン製作、ボードコピー全般。
特に任意の画像データを用いた転写デザインは秀逸だ。
好きな画像を専用シートに印刷後、樹脂ラミネート内に埋め込める。

この専用シートに転写する。デジタルエイジならではの新しいサービスだ

他には各種材質の(エポキシ樹脂も対応)各種ボード修理、エアブラシ、カラーリングも行う。

要するに普通のボード工場で、先進国の物と比べても何ら遜色はない。
開業して4,5年は経っているかもしれない。
最初の頃は人影もまばらだったが、最近はいつ見ても人の姿が。。
次第に良い噂も耳にするようになってきた。
腕は全く悪く無いと言う。。聞いてみたら、、責任者はオーストラリア世界的有名メーカーのDHDで働いていたキャリアがあると言う。

参考に私の板の修理箇所画像を。判るだろうか? 膝打ちで穿った大きな穴だったが、痕跡は視認できない。伝統工芸品の代表されるバリニーズのクラフトマンシップは時に悪魔的な技能を発揮する。仕上りが良すぎて騙されることも。。所要時間は2日間、料金はバリ島では相場より少し高めの20万ルピアであった。

現場はバリ島サーフィンの雨期スポットの通称パンダワ、グリーンボールエリアに立地し、シーズンには邦人サーファー達でも賑わうエリアだ。
近年は、洋の東西を問わず女性サーファー達の姿も増加中。。
壊れやすいサーフボードの修理はもちろん、または好きな板の複製なども比較的短期間で請け負っているらしい。友人のケースだが、エポキシ板の複製が500万ルピア=邦貨で4万円前後だった。
日本で行うことを考えれが格安だし、私には腕はいいように見える。
バリ島の波乗り旅行時に入用なら覚えておいても良いだろう。