暫く、中断していたサーフアップデイトを再開する。
昨日のウネリが多少なりとも残っている筈のウルワツ。
現場到着午前5時40分、無風、音から察するにさほど大きくもないし、
小さいという訳でもないとの印象。夜が明け、見えてくると極低潮位の3-4ftってところか?
この日も一番乗りでラインナップへ。
0,14cm, 6:30am、低潮位の為か、ワイドタイプの波だ、、しかも肩がない速い波。
取り敢えず、来た波を手っ取り早くゲットして走ってみるが。。
100mも行かないうちにクローズアウト、つまなく差もない波。
2本目もほぼ同様。
2番手のこの時間には珍しい西洋人カップルが、にこやかに挨拶して、傍らを通過していくが。。。。
この場所で13年間やっている私でも、パッとしない波にしかあり付けない。
彼らに勝ち目はなく40分間程、全く乗れず。

そして時間経過とともに、次第に潮が動き始めリーフ全体に海水が押し寄せ始める。。
まるで川と見紛う様な流れが発生し、元からの非力なウネリを圧倒し始めて。。
5本目の波を乗って行ったは良いがまたもやクローズアウト、浅そうなところで水中に飛び込むと。。。

上がってから撮った画像だが、2時間後でもこの有様。。本日は更に高い潮位まで待つ他ない様だ

引き波とウネリと全体的な潮位変化によって生じる乱流とが合わさり、、
グズグズ状態。。
ついでに鉛直方向の乱流に嵌って海底に手が触れる。。
オイオイ、、待てよ!200m程沖に居るのに。。
目を開けて見ると辺りは真っ暗だ。 深そう!
勘弁してくれ! こんなんじゃ、良いセッションに成るわけない。
腰に付けたブーティーを取り外し、、半分溺れながら。。
なんとかそれを足に付けて、、その場で終了を決める。

インサイドコーナーも同様だ。。こんな朝はさっさと上がり、上で仲間とカプチーノでも片手に談笑しながら、他人が沖で四苦八苦しているのを見ているに限る

僅か1時間のセッション、波数総数5本で終わる。
この朝は、一名の朝イチ・クルーにとっての最終日。
彼の毎年5か月間に及ぶ波乗り修行が終わる。
明日には太平洋を渡り、冷水と多様性の文化の国・サンフランシスコに戻るのだ。

戦友よ! ご苦労だったな。無事で何よりだ。。
総括し振り返ってみると、どうだった今年の修行は?
お互い手を握り合い武功を労う。

境遇出自は違えど志を同じくする者同士、心が繋がる瞬間だ。
海から上がり、この日最初のエスプレッソを片手に彼の5か月間の振りる。
大きなケガもなく、大したアクシデントも無かったという。
私から見ても、彼が年々向上しているのが明らかだ。

LAオリンピックのUS柔道チームに居た異色の経歴を持つ彼は、サーファーとしては遅咲きだ。
年齢も年齢だ、サーファーとして輝く可能性がある訳ではない。
ただ人生の一時期に情熱を傾ける対象として、我々同様に波乗りを選んだまでだ。

(柔道から波乗りか! この世界、何故か格闘技を掛け持つサーファーは少なくない)

彼にとっては総じて良いシーズンだったらしい。
数多く確かに乗れていたな。
40歳を超えて波乗りに嵌り、ウルワツの8ftまで出てくるのだ。
年齢境遇を問わず人の可能性を体現している。

国際武道家、海底油田で働く飽和潜水の産業深海ダイバー、スタンフォード大学で後輩を指導する柔道家、バックグランドは違えど志は同じ。。

最後に気の合う仲間同士、手を握り合い来シーズンの再会を誓い合い、背中を叩き合って別れの挨拶を交わす。
なんだかまるで渡り鳥のようだ。。そう、渡り鳥。。
人生の大海に生きる者同士、時が来れば大洋を渡り旅をする。
AからB地点へと、その間にどんなに長い地理的な距離があってもだ。
明日は何があるか解らないが、道中の不確実性を潔く受け入れ、季節が来れば決まった時に決まった場所に。。

そんな風に毎年を生きる我々だが、、海流に逆らい漕ぎ続けるのと同様に、
時流の波にも逆らいつつ毎年漕ぎ続けていく。
いつかはそれに疲れ果てる時が来るなら、漕ぐのを辞めるまでだ。
後は流れに身を任せるのみ。
そして老兵は消え去って行く。
種を問わず繰り返されていく自然の摂理。
それまでは漕ぎ続けるのみ。。

時にごく近い仲間内で話すのだが、、誰にとっても終わりは不可避だ。
そしていつかは訪れるその歩みを辞める時。。
一体どんな気持ちになるのであろうか?
そんなに先のことでも無さそうだ。。
それで、、その先、、一体、どうすればいいのだ?
その時に多少なりともその道筋が見えていればいいんだが。。
現時点では、そうで有る様に切に願うのみだ。。。