先日、沖に出ていて印象的だった光景を目にしたので少しだけ書いてみる。

(下はウルワツ・テンプルのラインナップ、波も小さくセット間隔も長い典型的な緊張感のない間延びしたセッションの一コマ、ダラダラと世間話に花が咲くのもこのような時だ 笑)

その朝は大きくないサイズの波で天気も良く、波数は多くはないが柔らかく質の良い波が来ていた。ラインナップには10名あまりか?そのうち2名が邦人男性だ。まったりとした雰囲気の中、適度に散らばり少ない波を分け合いながら皆で廻す。時折、来るレアチーズケーキの様に甘く柔らかい4ftのセットに、何とかありつこうと待ちながら。

だが、減少傾向のフェーズだったので次第に波数は減って来ていた。私はすっかり退屈して油断していたところに、いきなり極上のセットが沖から転がり落ちてきた。どこだ! どこで割れる?皆、何とかおこぼれにありつこうと目を皿のように見開き必死に動きまわる。で、数秒後にセットの盛り上がった所はと言うと、、ナント! 我が同胞御仁の目と鼻の先! もう、誰も文句も手も出せない棚ボタ状態の理想形で、もうせめぎ合う気も起きない絶好のテイクオフ・ポジションだ。こうなると皆は、手も足も出せずに羨望と声援と涎を出しながら見守るしかない。

(沖合は通常、友好的だが奪い合いで普通はこうなる。時には後で争いになることも)それでその幸運な同胞の御仁、首尾よく最後までメイクし喜びの表情とともにラインナップにパドルバックしてきた。周囲の西洋人に軽い祝福と称賛を浴びる。That’s was so good set of yours!  (お前が乗ってったセット! 良かったなー!って感じか)国籍文化人種を問わず、皆が想いを共有する瞬間で波乗りの醍醐味の一つだ。(海上では独自のルールが存在し、その同じ価値観を持つ人々が集まる。陸上での肩書やステイタスは一旦、停止される。有名人であっても。

私も羨ましかったが、ヤッカミなどは感じずに素直に同胞のために嬉しく想っていた。。そこでその御仁、英語は全くダメだったようで間の抜けた微笑みを浮かべながら、なんとか知ってる単語で喜びを表現しようと必死になっていた。うーん、微笑ましい光景だが同時に何とも勿体ない。言語的なバリアのせいで意思疎通、感情表現、自己主張の手段を持てない。交流の手段と機会をみすみす逃してしまっている。折角の理解交流の機会であったのだが。この時点で接点が生まれれば、そこから将来派生して行ったであろう機会はいかほどか?

人生など機会の連続だ。その中から最良の選択をチョイスしていくだけだが、そのチョイス自体の数が少なければ、人生に彩は生まれない。どうだ? バリ島は場所柄、各業界の著名人などが良く集まる。もちろん波乗り業界も、沖のラインナップも同様で多国籍だが共通共用語は英語だ。陸上での英会話は他に譲るとして、海上ではその専門性とも相成って一般には手付かずだろう。

そこで簡単に想いつく分だけ、知っていると便利な沖合いでの慣用表現を幾つか書いてみようと想う。沖でも陸でもトピックは膨大だ、絞り切るのは難しいが、波に乗る以上いつでもトピックになるものを選ぼう。

波はwave,,,うねりはswellでいいとして,崩れるのが早いはBreaking fast、水面がボヨボヨしている状態はwobble,,wobbly,,掘れるがHollow,,潮がみちるがtides are coming in,,反対がtides are going out. 波の斜面が急傾斜がsteep, きつい難しいテイクオフはcritical takeoff, 風が吹いてくることは winds are picked up,,風向きが~に変わることはwinds swing to ~朝一の夜明けの波乗りがdawn session, 夜明けの薄明かりがfirst light,,パドルして沖に出るがpaddle back out,,岸に戻るがpaddle in, 和製英語のドルフィンスルーはduck diveだ。変な言葉はアンクールなので辞めよう!進路の邪魔をしたがI was on your way、リーシュが切れるが snap the leg rope, 板が折れたbroke,,またはsnap the board,,板が真ん中で歪んでラミネートが盛り上がっている様が Buckled the board,,板が凹み傷がつくことは Got Ding,,修理がding repair..書いていて気付いたが、膨大過ぎてとても書ききれない。

私もネイティブではないので全てを把握出来ている訳ではない。未だにわからない耳慣れない表現を聞くこともあるので、前後の文脈で判断するか興味が惹かれれば、毎回出来るだけ訊いてみることにしている。解らなければ後で他に訊くだけだ。

個人スポーツのサーフィンと言えども他者との交流は必要だ。波に乗るものもちろん気持ち良いが、共通の目標をもって取り組む人々と繋がるのも何とも気持ちの良いものだ。海外で波乗りをするのなら尚更だろう。簡単な波乗り英会話なら訊いてくれれば、知っている範囲でお答えしよう。同胞のサーファー諸兄、健闘を祈ります。