何年かぶりに今年はニュピを過ごすことにして、本日は静寂の一日を自室内に缶詰になり過ごしている。昨夜は恒例のオゴオゴ観戦に出向いたのだが、これもお約束の大混雑で普段、何気にバイクで走り抜ける道を実際に徒歩で歩くと思いのほか距離があり非常に疲れた晩になった。(昔の人は毎日歩いていたのだ、バイクの有難みが身に染みた夜になった)
普段は大人しい印象のバリ人達、日頃からなにやら儀礼祭礼にかかりっきりでいろいろと忙しそうだが、このニュピへの入れ込みようといったら別次元だ。数か月前から各街角で製作中のオゴオゴが目につくようになり、時が過ぎるにつれて段々と形を成していくのを目にするようになる。完成するとベールで覆い、当日に晴れてお披露目とあいなる。下は晴れて完成したオゴオゴをパレードしながら会場へ移送する場面。彼らは心なしか誇らしげな表情で練り歩いて行く。私は独特の音色が鳴り響くこの銅鑼はバリっぽくて好きだ。

周囲がお祭りムードに向かう反面、我々、島内の外国人はニュピの計画を練らなくてはならない。静寂の日ともいわれるニュピ、由来は割愛するが全島が閉鎖される。(飲食業は勿論、各種商業、国際空港も同様。しかし、宿泊施設内は通常通り営業するが、施設から出ることは禁止される)よって、島内滞在外国人達は、島外または国外に脱出するか、食事の心配のない良い目のホテルに宿泊するか、食料を備蓄し自宅での籠城に備えるのが普通だ。そして今回は私の長い滞在歴にもかかわらず、初めての自宅籠城オプションを選択してみた次第である。数日前から本日消費分の首尾よく食糧備蓄を始めたのだが、よく考えるとこれが結構曲者だ。果物、パン類、乳製品といろいろ買ってはみたものの、どれもあんまり日持ちするものではなく数日以内に消費しないと全くの無駄になってしまう。例えばこれなんか、、
どうすればいいのだ?この熟れたパパイアは?食べ頃なのは確かだが今日、明日中に食べなくては傷んでしまう!外は雨だ、今日はどのみち屋内の一日になったであろう。聞こえるのは雨音だけ、普段と違い非常に静かな昼間。どことなく非現実的な感じがする。 考え事にふけるのにはまたとない好機で本来、ニュピの趣旨もその様なことだと言われている。まだ午前11時だ、後20時間近くこの静寂は続く。何か先人の教えのようなものが聞こえてきそうな気がする。うーん、たまには良いのかもしれない。

どうでしょう、先進国では全国一斉の静寂日など望むべくもないが、個人レベルでは可能だ。一度、立ち止まってじっくりと思索の一日を過ごすのも悪くないかもしれない。