先日のことだが久々に名古屋セントレアに降り立った時に少し笑えることがあったので短く書いてみる。空港の到着フロアで遭遇する動物と言えば、最近ではセラピー犬、介護犬などもあるが通常は税関検査系の各種探知犬だろう。各種探知犬と書いたのは今では麻薬探知だけとは限らないためだ。爆発物探知、農産物、畜産物、鮮魚海産物探知犬などいろいろあるらしい。

無用なトラブルを避けるためにくれぐれも変な気を起こさないようにしたいものだ。かなり以前のことだが数か月のオランダ王国滞在を終え、ここセントレアに降り立った時のこと。若い女性の税関検査官の列に並んでいて順番が回ってきた。パスポートを渡し待っていると、検査官様が(オランダですか?)と訊いてきた。ハイ、そうです、知人の結婚式出席もあり、、などと適当に応えていたら、オランダと言えば、(コーヒーショップとか在りますよね? そのようなとこは行かれませんでしたよね?)っと振ってきた。

そこで、お約束の優等生的にいいえと返答しても面白くないので、試しに一回だけ行ってみました!と答えてみた結果、(実際、現地の店の前で目を赤くしてへたり込んでいる東洋人は、ほぼ全部が日本人観光客だった!)。そしたら、即別室で詳細な所持品検査を受ける羽目に。所持品を全部ひっくり返した挙句、直腸検査でも始まるような勢いだったな。やれやれ、あんな検査はオーストラリア税関によるメルボルン空港の抽出検査以来だった。(当地は農産物、食物持ち込みには非常な制限がかかっている。ペナルティーも重く冗談ではすまないので、くれぐれも注意されたし!)

そう、それで到着客の預け入れ荷物が出てくるのを待っていると、広いホールの向こうから真っ黒で若いラブラドールレトリバーがハンドラーとともにこちらの方へ向かってきた。到着客の間を縫いながら私のもとにも。一瞬、隠し持っているお土産マンゴーの為に不安になったが何事もなく過ぎていった。

そして荷物を回収し検査台へ向かいかけたときに、先程のハンドラーに呼び止められた。(もちろん、禁止薬物など我が国の法律に酷く抵触するものなどには無縁の私だが一瞬驚く) 話を聞くと名古屋税関の薬物捜査犬訓練の協力依頼で、匂いのついた怪しい小袋をつけて検査区域を通過してほしいとのことだ。快諾するとその旨が書かれたカードを渡され、出来るだけ普通に検査を受けて出口まで歩けと説明された。担当官はそこで待っていて、私が他の到着客集団の中で訓練犬とすれ違う手はずだという。

私だって長年愛犬家であったので犬には慣れているが、ここでドラマみたいに犬に吠えられて飛び掛かられ、周りの人に白い目で見られるのか?ケツでも噛まれるのも嫌だ。

そして結果は、、正面から接近してくる黒いレトリバー、しっぽを振り振りキビキビと到着客の群れの中を軽快に歩いている。若い犬特有の目的を持った動きで観ていて可愛い。そして私の正面まで来たが停まるそぶりも見せずにそのまま過ぎていった。

これには見ていた税関検査官、警備官も大爆笑!訓練担当官も苦笑い。真面目に任務に励んでいる一途なラブラドールレトリバーはそんなことには目もくれずに他で探索続行中。協力へのねぎらいの言葉と上の訓練犬のカードを記念に貰いその場を辞した。本当は記念に前述の怪しい小袋もそのまま頂きたかったのだが、前回ここで問題を起こしているので辞めておいた。

気の毒なノエル号はその日はきっとおやつはお預けだったに違いない。   そして、小さな出来事だったが日々、国際空港で行われている業務の一端を目にすることが出来て興味深かった。日本では公平な検査が受けられるはずだが、第三世界では事情は異なる。くれぐれも油断しないでやりたいものだ。