以前、この場で述べたようにパンデミック期間中に始めたことが幾つかある。
そのうちの一つが旨いラーメン屋探しだ。
アイテム的には元から好きではあったラーメンだが、ここ数年でそれに更に拍車がかかっている。
毎回の長い海外滞在を終えて祖国の地に降り立つ時、入国手続きを終えたその足で空港の出発階に移動してラーメン屋に駆け込むのが習慣となっている。
スープの付く手軽な日常食のそんなラーメンだが。。

その理由は?
場所を問わず、多かれ少なかれ中華文明の影響が各地に色濃く浸透している東南アジア。
麺食文化などは既に各地で多種多様、百花繚乱ともいえる。
しかしだ、麺料理はどこも成っていない!
スープの温度や分量はおろか、麵食のコアである筈の麺の食感等にこだわる文化は皆無で、具材の洗練度、味わい、相性、原料へのこだわり等も特に感じられない。

”オイオイ、麺食ルーツの中華文明だろ?
千年以上もやってんだろ?
いくら手打ち麺でも、こんなノビノビの腑抜け麺をずっと喰ってんのか?
もうちょっと何とかしようと思わないのか?”

典型的な庶民的汁ソバの卵入り黄色小麦麺のバミー。インドネシアではバクミーと言ったりする。発音が近いのは出所が同じという証左で元は中華系移民が持ち込んだモノだ。味は薄味系、麺は伸びている事が多く、良くても微かなコシが辛うじて感じられる程度。スープと具材はどこも似たり寄ったりの没個性だ

ってのが正直な感想だ。
文化人類史上、近代の中華系移民の流れの成功例としてよく例えられるタイ王国や、現地土着のマレー系文化との融合を果たしつつ、中華文明も踏襲するプラナカン文化で花開いたニョニャ料理も然り。
現在も各国各地方で無数の麺食文化が脈々と受け継がれているが何処も全滅。

誤解を恐れずに言うならどこも成っていない。。
現地で名店と言われている店でも同様。
美食の国と言われている台湾、世界五大クイジーンに数えられるタイ料理の一部を成すタイ中華でも同様。。
超高級料理店などに行けば話は変わるのかもしれないがそれでは本末転倒だ。
元々、麺料理は庶民の日常食であるのが本来の姿じゃないだろうか。
希少で高価な食材と非常な手間暇をかけて作る物では断じてない。
手軽に早く安価、それこそ屋台で誰でもイケる様なモノであるのが本来の姿だろう。
しかし、毎日食べる実用飯だからこそ、敢えて味が追求されるべきではなかろうか?

我が国での小麦黄色卵麺、俗にいう中華そばがバクミー系麺の同類項と考えても良かろう。焼津小川港ラーメン岡田の醤油ラーメン。(生卵はフリーオプション)

本格的な日本式ラーメンは今では洋の東西を問わず、世界に進出を果たして久しい。
1980年代に端を発し、今では世界的に認知された寿司に続いて既に ”Ramen” は一つのジャンルとして定着を果たしている。
近年の我が国における空前のインバウンド需要もあり、国内外に於けるラーメン談義も花盛り。
全くの私見になるが、日夜ひたすらラーメンを食べ続ける手前、私自身も私なりにそれに加わってみようと思う。
気が向くなら読んでみて欲しい。
更に機会が有るなら、実際に試してみて貰えれば尚更の事嬉しく思うだろう。

店の立地や店舗外観、趣や店舗名は港のラーメン屋そのもののそれだ。ラーメン岡田、ガワはどうでも良い!味で勝負という店主の心意気を感じる

大分、前置きが長くなったが本題に入る。
以前から耳には入っていた噂の名店を昨年に初めて試して以来、個人リストのトップスリーに入れている静岡県焼津市小川港の一角にあるラーメン岡田を紹介する。

所在は、多少判りにくいかもしれないが巨大な焼津漁港の港湾施設が並ぶ港の中。
焼津と言えばマグロをはじめとした国内有数の漁業基地。
東名高速道路からのアクセスも悪くないので文明の利器を使えば容易に見つけることが出来る筈。

営業時間は昼休み有りの2部制。
明らかに港で働く男達を想定した午前7時から午後2時、午後5時から午後8時迄
但し、土曜日曜日は通しでやるらしい(やるな!大丈夫か?)
定休日は水曜日となっている。

あっさり系醤油ラーメン。手前は同一だが味玉入り。スープの見た目は薄いが侮るなかれ!複合的な出汁の味が凝縮されている。私は毎回唸ってしまい、スープだけを味わい空になってしまう事もある。

メニュー構成はシグニチャーメニューである濃厚魚介豚骨が筆頭。
それを望まない場合はあっさり系と謳う醤油ラーメンか、つけ麺でとなっている。
そこに加え番外として辛い系ラーメンが加わるが、私個人は未体験なのでここでは割愛。
これに好みに応じて味玉、葱、チャーシュ等の具材を添加する構成で、全部入りにしても一杯約千円の標準レベル。

店舗概要はみての通り顧客満足を最上に掲げている感じが伝わる。大盛無料なので注文時に口頭で伝えよう。

面白いのはトッピングとして生卵が備わっていること。。
ラーメンに生卵かよ!(私は遠慮しとくが。。)
他のサービスとして麵大盛もあり、両方とも無料だ。

壁には食べかたのインストラクションも。想定する味わいに誘うつもりなのか。私はもともとあまり好きではない九条葱が店主の薦めるやり方でそれが旨い事に最近気が付いた

他にも唐揚げ、ギョーザ、チャーシュー丼等のサイドもあるが、生粋のラーメン等である私には必要なく未経験なのでこれらも割愛。勇者は自発的に試して欲しい

店舗内はテーブル、座敷、カウンター席があり、特に特徴は無い。
優に2桁回数利用しているが従業員は目にしていないので、ワンマンオペだと思って間違いない。

シグニチャーメニューの濃厚魚介豚骨。生クリームでも入っているのかと勘繰りたくなるような家系豚骨ラーメンの濃厚さとは一線を画し、ダシの味がしっかりと構成されている。それでも濃いと感じる人は店主に言えばそれを調整するための割出汁が用意されている

で肝心の感想は?
食べログ的な事をやっておいて心苦しいが、年間200食以上食している無類のラーメンマニアの私が岡田をトップ2か3にランクしているとだけ言っておこう。

年齢的な為なのか?
最近では手の込んだ複合的な味より、旨味を基調とした出汁の味と塩味があれば十分と感じる。
同時に私はコシのある固めの麺を愛する細麺信奉者だ。
そんな私にとって岡田は本当に旨いです。

蛇足になるが、こんな調子て頻繁にラーメンを食べ続けている為か?
或いはパンデミックにより本分であるウルワツの波乗り修行から遠ざかっているせいか?
昨年まで40年間近く体型を保ってきた私も、今では標準体重プラス5㎏。。
早くパタヤ帰還を果たし、馴染みのラボで恒例の健康検査を実行しなくてはと気が気ではない。
しかし、ラーメン探訪はしばらく続けて行くので興味が湧くなら、時折覗いて貰えれば幸いだ。
調査物件などの提案なんかもウエルカムだ。
可能なら随時試していこうと思う。