我が国では通常、新鮮な魚介類を品質の懸念なく食すことが出来る。
場所やモノを問わず、販売や流通の形如何を問わずに。。
現実的な懸念はお値段くらいだろうが、この辺りは個人差がある。。
普段は活気や熱気、喧噪や臭気が渦巻く東南アジアの市場を歩いている私だが、今回の日本長期滞在を受けて国内の市場巡りも始めている。

恐らく漁獲されてから一度も冷却されることなしにエンドユーザーの手に渡る鮮魚?類。。デンパサール中央市場

そんな訳で先日も東京築地場外市場を歩いていた。
そして数か月前に見つけて以来気に入っていた中華麺屋を再訪し、その淡い中華出汁が香る細縮れ麺に舌鼓をうったので報告する。

市場機能が大きく豊洲市場に移管した現在、ここ築地市場は卸売関連品や飲食店、小売店等が集積する総合市場に様変わりしている。
観光を兼ねて訪れる個人客としては都合が良く、サービスもそれを前提として再構築されたようだ。

寡黙な親父とテキパキと手際良く動き続ける物静かな女将が営む市場の片隅にある小さな立ち食いラーメン屋だが、観光客や外国人客も多く抜け目なくサービスも多角化させている

この店を初めて訪れたのは昨年、朝などは次第に外気が肌寒くなりつつある晩秋のころ。
冷える体を温めるのに、軽く啜る薄味のラーメンがちょうど良い季節頃。
ある朝、飯抜きで魚市場の風景動画でもと訪れた時のこと。。
するとなにやら行く手に、通りに出ているアルミ台を囲んで湯気に立てながら一心に何かを啜っている一団が目に入った。

昼飯時には場所待ちの人だかりが。時間をずらす必要が在るほどの人の入りだった。

ほほう、ラーメンか!
毎回、長い海外滞在を終えて祖国の地に足を踏み入れた瞬間には、空港の出発階に出戻ってラーメン屋を探す程のラーメン好きの私だ。
ここは黙って素通りする訳にはいかない。

中華麺。店舗外観はこの通り。メニューは写真のみ。水はセルフで勘定は手渡し。営業スタイルは立ち食いそば屋のそれだ

ちょうど晩秋の冷えた朝、湯気を立てながら静かにラーメンを啜る客にテーブルの空が見つからない。
よってこの時は先に市場をブラつくこととなった。

話しかけにくい雰囲気を醸し出しながら、麵の茹でにかかりきりの親父に頃合いを見図って自身の一杯を頼み、後は静かにテーブルで待つだけ

暫く待つこと2~3分か?
”はい!お待たせ~” と親父の声がかかる。
無愛想というほどでもないが、やはり人当たりは女将さんの方が良い。

此処まで無駄を排し徹底した実務主義をとるのなら、実力は如何なものかと調理の様を盗み見てみたが、それはひたすら己の完成された手順を徹底するプロのやり口だった

そして先ず一口、スープを口にふくむ。。
うーん、魚介出汁ベースかと勝手に予想していたが、どうやら鶏系ベースの出汁か?
ザ・中華そばって感じだが、その向こうに何とも言えない繊細な何かがある。
しかし、その何かが私にはわからなんだ。。
無類のラーメン好きを自認する私だが、修行はまだまだ足りていない様だ。。

市場外周になる新大橋通り、もんせき通り沿いの歩道に面しているので周囲はテーブル併設店舗や飲食提供店舗が軒を連ねる

麺はこれ以上ない位な細く繊細な縮れ麺。
ソーメン並みのそれの茹で時間はきっと極短だろう。
旨い! 繊細で旨い。。
魚市場だから魚介かと思いきや、そうではない動物系ベース。
お約束の薄味スープに良く絡む細麺。
シンプルな味、少な目のポーションサイズ。。
しかし、価格設定が800円か。。
なるほど、東京価格なのか?
このシンプルな中華そばで一杯800円か。。

寝起きで冷えた体にスーッと染み込む、最近の手の込んだ複合的な味スタイルの魚介豚骨ラーメンのなどとは対極を成す中華そば。すかさず各種レビューを見てみると、旨い!薄味だがしっかり、極細麺、小腹満たしにうってつけ、高めの値段設定と概ね共通する感想が目立っている。

腹を空かせた男が飯に来るという用途にはおおよそ合致は難しいだろうが、小腹を満たし、市場巡りやデート中の立ち寄り等にはうってつけだろう。
レビューには正統派老舗東京醤油ラーメンとの記述も。。
御託はここまでにして、最後に所在を挙げておくので、興味と機会がおありの貴兄は訪れてみてはいかがだろう。