パンデミックネタはいささか食傷気味だが、そうでないネタを見つけるのは容易ではない今日、これも我々が対峙せざるを得ない新しい生活様式の一端なのだろうか?
私がバリ島を後して彼是10ヶ月程が過ぎている。
しかし、依然として現地には一定数の外国人達が滞在を続けている。
100年に一度とも言われる世界的な大災厄を外国で過ごすという機会を羨ましいとは言い切る自信はないが、非常事態と言えども他国に滞在する為には所定の手続きを踏まなければならない。
それには必ず決められた手続きがあり、それを遺脱すれば現地の官憲に罪を問われることになる。
そして、それは外国人としてはなんとしても避けた方が賢明だろう。

非効率で不明瞭、強欲で傲慢、打算的で即物的な官僚主義の権化が蠢く行政手続きの巣窟、バリ島の入国管理局。此処で事を構えて良いことは一つもない。特に外国人にとっては。。。

それでも地上の楽園バリに滞在を望む人たちは少なくない。
それが関係するかどうかは不明だが、現在、課されている通常時よりかなり割高なビザ延長の手数料に対して外国人からの苦情が出始めているという。
現地の英字メディアから、バリ島に10ヶ月間程滞在しているという一人のマレーシア人男性が声を挙げたと記事が出ている。

事の発端は今から約一年前になるパンデミック宣言が出て、急速に世界各国で前代未聞の国境閉鎖へと舵を切り始めた頃に遡る。
急速に広がる全世界的な感染の拡大を受けて国際旅客便が一斉に運航停止。
帰りそびれた世界中の数十万規模の旅行者達が各地で立ち往生。
世界的なリゾート地のバリ島でも多数の帰国難民が発生、インドネシア政府がその救済策として緊急滞在ビザを発給したのが始まり。

WHOが中々出さなかったパンデミック宣言を遂に出した時点で(それも渋々と)、私個人もバリ島脱出を決めた。急遽、とったフライトはまだガラガラだった。。これが後の帰国便パニックに繋がっていくのだが、この時は知る由もない。

その後何度かの変容を経て、2020年8月期に落ち着いた緊急滞在ビザの延長手続き手数料は120万ルピア≒86米ドル/毎月だったという。
条件や制度上、それらは同一では無いので単純に比較はできないが、参考までに私が同系列の滞在許可申請で払う金額は、通常25万ルピア≒20米ドル~85万ルピア≒70米ドル程だったのだが。。
あれ? いつもと比べて随分と高いじゃないか?
足元見やがって。。

記事を読み進めていくとさらに驚いた。
それが2020年12月期に再々度改訂され、現在課されているのは次の通り。

初回に払い込む必要のある金額は、驚愕の500万ルピア!≒357米ドルだ。
(オイオイ! 法人系ビザでも、労働ビザでも、婚姻ビザでもないのに!)
そして、以後、毎月56米ドルを払う必要がある。(最大4ヶ月間滞在可能)

もう、こうなると完全に官製のタカリ行為以外の何物でもない。
来てくれないとジリ貧だから、行ってやろうと想っているのに!

おまけに最近はオーバーステイに対しても厳しい態度で臨み始めたインドネシア当局。
無許可滞在に対する過料は、以前から比べて400%増しの一日あたり100万ルピア≒約80米ドルとさらに高圧的な態度をとり続けている。
手違いや勘違いで超過一ヶ月もやらかせば、邦貨で30万円程のひと財産をみすみす毟り取られる羽目になる。(痛々しほどに不慣れで憐れな同胞女性の案件に立ち会ったことがある)

バリ島滞在は遵法にやろう。昔はチョイト袖の下を払って実弾でどうにでもなったが。。今ではそれはもう昔話だ。現場で不用意に揉めると法外な罰金を科されたり、それをさらに拗らせたりすると臭い飯が待っていたりする。。

これに対してバリ州の法務長官が談話を述べている。

”現在、バリ州には約3万名の外国人達が滞在中だが、観光目的の入国禁止措置は依然として継続中。商業運航便も極めて限定的に運航しているのみ。滞在が長期化している外国人達の中にはトラブルに巻き込まれる者も出始めている。2020年当初から現在までに5名が国外退去処分に処されている。中には経済的な困窮者や犯罪行為に手を染める者も出てきている。”

何処の国に於いても滞在許可の延長手続きは煩雑で面倒だ。各国当局もグローバリゼーションの進行と共に急増する自国内に滞在する外国人達の管理には苦慮しているのが見てとれる。混雑する毎月のイミグレ参りは出来ればやりたくないが、現在では必須の儀式と化す。 バリ島ヌサドゥア地区にある入国管理局

そんな不自然にも見える(或いは不公平か?)単なる行政手続きの法外な手数料に対し、前述のマレーシア人男性も文句の一つも言いたくなるのは自然な人情ってものだろう。
特に現況の世界的な経済的苦境を考えるなら尚更だ。
アフターコロナが何時になるかは皆目見当もつかないが、私が帰還するまでにはそれが正常化していることを願って止まない。。