先週、インドネシアの中央政府から出されたジャワ、バリ島を年末年始に移動する者に対するコロナ抗体検査陰性証明書の提出義務については前記事で述べたところだが。
行政サイドの紆余曲折と混乱を経て、案の定、現地では大変なことになっている模様だ。
休暇突入直前に唐突に出されたこの措置は、当初は12月18日から新年1月8日までの期間とされていた。
しかも、最初は出発前2日以内の検査である事が条件というかなり強引な物。。
当然、世論の激しい反応と共に旅行自体の膨大なキャンセルが発生。
その数が通常の10倍に達した結果、当局が数日後に条件の修正緩和が行われたのが先週末のこと。

東南アジアに慣れた者にとってはお馴染みの当局が時々生み出す途轍もない例の大混乱だ。
私は自身が影響を受けない事に安堵しながら傍観を決め込んでいた。

(今年3月期に発生したタイ政府による非常事態宣言発令と国境封鎖にはガッツリと巻き込まれてしまったが。。)

そして大多数の気の毒なインドネシア国民の今回の旅行計画に対しては、キャンセルが最善の策かと前記事の最後で結んでいたのだが。。

やはりというか、予想通りに事態は大災難へと発展してしまったようだ。
火消しに躍起になった当局の後手対応がそれに拍車をかけているのが明らかで、検査対象者を絞り、検査条件の緩和、措置の開始日を19日に遅らせるという修正を加えても混乱は収まっていないらしい。

年末休暇に突入しつつある今週、バリ島の空港やジャカルタの空港では未曽有の大混乱が現出しているようだ。

(だから言わんこっちゃない! 本当に辞めといた方が良かったかもらしい!)

現地発の英字メディアから漏れ出てくる情報を見てみると、抗体検査を受ける為の会場整理券を受け取るだけで数時間も並び続ける必要が有り、早朝午前6時から待機に入る人もいるという痛ましい事態。。(無論、検査はそれからで、一連の渡航プロセスはそのまた後。。)
しかも、大混乱中の各会場ではソーシャルディスタンスなどどこ吹く風、各自が何とか検査までたどり着こうと右往左往を繰り返しているのが見てとれる。
もうお馴染みの光景だが、これに狼狽えた当局が措置の条件緩和を支離滅裂に乱発した結果、さらに混乱が増幅されるというお約束の結末が。
現時点で私が目にしている限り、この時限措置は12月19日から1月4日迄の期間に短縮され、検査会場は何処でも受けれるところで受けることが認められた模様。
因みにバリ島ウングライ・デンパサール空港で抗体スワブテストを受ける場合、料金は17万ルピア(約12米ドル)で、結果は1時間余りで判明するとされている。
それに代わり、PCR検査は90万ルピア(約63米ドル)になり、検査の精度は抗体検査よりは高いと言われている。

インドネシアを少しでも知る者にとり、この様な混乱が起きた時の常として次に来る事は容易に想像がつく。。
そうだ! お約束のインチキ証明書を発行して金儲けを目論む輩の出現だ。。
現地報によると今週にだけで、少なくとも2名が摘発されて禁錮6年が言い渡されたと出ていた。

想像通り、官製の大災害に見舞われながらの2020年クリスマス休暇と相成った気の毒なインドネシアの友人達。。
私には旅行も始まってもいないのに朝6時から大行列に並ぶなんて事は到底出来ない。
しかも、後に続くのは人口2億7千万を誇る人口大国インドネシアの最大のリゾートアイランドバリ島でのクリスマス休暇だ。
それは平時でさえかなり手強く、バリ島歴が20年近い私でさえも避けていて未だに未経験だ。(毎年、正月が明けてから帰還している)

どうやら大方の予想通り、今回の急な措置が決まった時点で早々と旅行を諦めた10万人を超すインドネシア人達が勝ち組だったのかもしれない。
それでもパンデミック以来、彼らの初の休暇が少しでも満足出来るものになることを願って止まない。