年末の休暇シーズン目前、予約数の好調な伸びが確認されているバリ島の観光シーンであるが、ここへきて暗雲が立ち込めてしまったようだ。
今週始めに突如、中央政府から発せられた国内旅行者に対するバリ島入境時におけるPCR検査の陰性結果提出義務化が決定され、大きな影響が出ていると報道されている。

今から3日ほど前にインドネシア国内旅行者向けに発布された新しいレギュレーションの関連記事が目に付き始め、土壇場の変更を驚きの念を交えながらその推移を見守っていたのだが、本日あたりから進行中の事態の概略が見えたので簡単に挙げよう。
何せ毎度のことながら土壇場の決まり事なので、時折英字メディアに漏れ出てくるニュースだけではその方向性が良く判らない。
しかし暫くみていて受けた印象は、概ね我が国のGo Toキャンペーンに絡む混乱と似た感じ。今回の歴史的なパンデミックを巡ってはどこも苦労している様子。
国は違えどパンデミックを前にした施政者の苦労が垣間見える気がする。

事の発端は12月15日の英字メディア上に、空路でジャカルタ、東中西部ジャワ州、バリ島に入境する旅行者は出発2日前までのPCR検査陰性証明書の提出が義務化されたとの記事が載ってから。(陸路入境者は抗体検査による陰性証明書が必要)
この措置は、本日12月18日から来年1月4日までの期間に適用されるとのことだ。
我々、インドネシア帰還を目論む外国人達にとり、到着時の陰性証明書に関しては過去6か月間に何度も耳にしているので、今更さして驚くことはでは無い。
しかし、パンデミック明け最初の休暇を前にし、少し気持ちの高ぶった憐れなインドネシア国内旅行者にとってはそのインパクトは小さくなかったようだ。
前記事でも触れたが、この年末にバリ島を訪れる旅行者は38万人に達すると予想されている。

この突然のレギュレーション発布を受け、国内で大きな反響が出ているようだ。
出発直前の余分な手間と出費を嫌う旅行者たちの旅行自体のキャンセルが続出中との記事が16日あたりから目立ち始めていた。

(大体、この年末の2週間ほどの短い期間にそれだけのPCR検査をこなせる体制がインドネシア国内にあるのかは甚だ疑問でもある)

バリ島だけでも38万人、それよりはるかに規模の大きいジャワ島内での人々の移動の規模を加味すると恐ろしい数に膨れがる筈。。(同国の人口は2億7千万人あまりとされている)12月16日付けでこれに関連してバリ島ホテル・飲食業組合の議長は談話を発している。

”年末の旅行需要に対するインパクトは甚大、特にダウンペイメントやデポジットを含まない予約のキャンセルが止まらない”

12月17日、航空便の予約キャンセルも増加中との記事が出始めるが、バリ州知事は今回の措置は防疫上の必要性は勿論、後に続く外国人受け入れ開始にあたる試行準備としても必要であるとの声明を発した。

そして本日18日の時点で目にした記事によると、今迄に2240万米ドル相当の予約が取り消されている。 (インドネシアホテル飲食業組合発表)
同時にCNNインドネシアの報道によると、12月16日午後の時点で11万3千名の旅行者が返金手続きを執ったとされていて、この数字は平常時の約10倍に達する規模だという。

出発カウントダウン直前に急遽、発布された新規則だった訳だが。。
非常に大きな影響を残す結果となってしまったようだ。。

私の頭によぎるのは、今から数か月前のタイ政府の短期滞在ビザの特例延長措置に絡んだ一連の大混乱。。
あの時もかなり酷かったが、残念ながら東南アジアではこのような事は茶飯事だ。
そして、それは当の国民たちが一番よく知っている。
なにせ、当局自体がハッキリしないのだ。。
この様な時の彼の地での最良と想われる対処法は?
それは頭に来るけど、全部を水に流して辞めとくことかもしれない。。
サッサと踏ん切り、損切を決めて次善策を練るのだ。。
返金可能な物はサッサと回収して次に進むのだ。。

(私のように国家非常事態宣言を受け突然に運航を停止されたタイ国際航空の航空券の処遇など、ヤキモキするだけ損なのだ! 個人の力の及ぶ範囲外の状況に抗うのは自由だが、結局は身を任せる他ないのだ)

想像できるだろうか? 大枚はたいてウキウキでウングライ・デンパサール国際空港に降り立ったは良いが、出口に立ちふさがる強面の空港の警備当局者達が頑として首を縦に振らない事態を

私だったら彼らに倣い、さっさと辞めて予定変更に取り掛かかろうと想う。。
それとも、ケチが付いた旅行は取り辞めて大人しく家で過ごそうか。。
何処かの国のGotoナントカって事態にどことなく似ているな。。
年末の新たな頭痛に見舞われているのは、どうやら我々だけでないらしい。。

: 追記 つい今しがた目に入った記事によると、バリ州知事が新ルールに若干の変更を加えたことが明らかにされている。それによると空路入境者は出発日から2日以内のPCR検査の陰性証明書が必要だった規則を若干緩め、出発7日以内に発行された陰性証明書でも良い事とされた模様。同時に12歳以下の子供には陰性証明書の提出が免除されるという。そしてその規則は明日、19日から適用されるらしい。