タイ国内のレジ袋使用禁止措置が始まってから9か月程の時間が過ぎている。
2020年の幕開けと共に始まったこの措置、私も当時現地に居たので多少の戸惑いを感じたのを覚えている。
世界屈指の屋台食文化とすっかり定着したアメリカ型の消費主義が相まり、好き嫌いにかかわらず、毎日、急速に手元に集まっていくレジ袋の量には正直、圧巻だった。
私はいつもそれらを溜めておき、後に続くバリ島や日本滞在時に使いまわしていた。
大体、タイに一ヶ月間滞在すると、次の滞在地でのビニール袋需要の約二カ月分を満す量のレジ袋が集まっていたのを覚えている。
多少、遅きに失した感のあるが、鳴り物入り始まった店頭でのシングルユースのプラスティック・レジ袋の使用禁止措置だが、何とも不運なことにパンデミックも全く同じ時期に始まってしまった。
非常事態宣言が発令されて学校が休校、店舗も閉鎖、外出が禁止され、後に続く一連の国家的な活動制限により人々は外食もままならず、テイクアウト食を強いられた結果の行きつく先は。。
当局発表のデータによると、昨年度の首都バンコクでのプラスティックゴミの平均排出量は日量2115トン、パンデミック後の本年度4月期のデータで日量3432トンに上り、容積換算62%増とされている。
特に外出禁止令が発令され、急激に広まった食品のテイクアウト需要によって消費されるプラスティック容器、食器類、ラップ、ボトル、手提げ袋等は非常に多量で80%以上の増加がみられたという。
これにより、年初来のプラスティックゴミの削減努力が一瞬で霧散してしまい、非常に憂慮される事態になっていると環境問題専門のシンクタンクの関係者の談話が紹介されている。
通常、国全体のプラスティックゴミの排出量はおおよそ年量換算で200万トン前後だが、封鎖が緩和された現在でも事態は悪化の一途を辿り、今年度は年量で3割程度の増加が見込まれているという。
プラスティックゴミの排出によって引き起こされる海洋汚染原因国ワースト5か国のうち、4か国が東南アジアに集中している。(最大の汚染国は中国)
タイが直面しているケースは近隣諸国でも同様だとみられていて、状況は非常に深刻だという。
それに加えて、パンデミックによる全世界的な使用済みマスクの環境汚染も現実味を帯び、我々が対峙しなくてはいけない物のリストは膨れ上がるばかり。。
ニューノーマル? なんとも気が滅入る時代になったものだ。。
しかし、プラスティックゴミの削減努力は一時的な挫折を見ているが、将来に努力が再開されると信じているとタイの環境大臣が結んでいる。