世界第4位の人口大国であるインドネシア共和国。
その中で神々の棲む島と呼ばれるバリ島で大規模な観光開発が始まって約半世紀。
途中、様々な困難を経ても、尚、世界的な観光地として君臨しているバリ島は東南アジアでのビーチリゾートの先駆けとしても有名である。

しかし、何の前触れもなく、突如、発生したコロナパンデミックによりバリ島は、観光地として始まって以来の最大の危機に瀕しているのは周知のとおり。

一年365日、常時、休暇を終えて出国を待つ人々で溢れていた国際線のチェックカウンターから観光客の姿が消えて。。長年この地に通う私とって、そのとても現実だとは思えない光景にしばし呆然と見入ってしまった。

そんな苦境に喘ぐバリ島から、またもや意気消沈せざるを得ない不安なニュースが流れてきた。

若干の懐疑的な見方も無きにしも非ずだったが。。
今週初めにインドネシア海事調整省の長官が、自信満々に来月9月11日に予定されているバリ島に於ける海外からの観光客受け入れ計画について、予定通り行うとの声明が発せられたばかりだったのだが、ここへきてそれに相反する情報が流れ始めている。

昨日、同一人物が同計画の実施が年末までに延期される可能性について言及したとの発表が伝えられている。
それによると海外からの観光客受け入れに代わり、先月末に来島が開始されて、それ以来、好調な国内観光客の受け入れに集中する為だという。

”我々は、70%までの国内観光客の受け入れを想定している。国外からの観光客の受け入れはその後が望ましい” と昨日述べたとされている。

長年、インドネシアに限らず東南アジアの第三世界に携われば、今更驚くに当たらないお馴染みのいつもの奴だ。
折に触れてジェットコースターライドと揶揄される、信頼できるとされる情報筋からの相反する情報の発布。

昨日はAと言っておいて今日はBと言ってみたり、または関係省庁間で同時期に全く真逆の発表が為されたり、措置の撤回、うやむや、立ち消え、元の木阿弥等。。
枚挙に暇がなく、話の二転三転など当たり前。

余裕が有る人とっては盛大に笑える愉快な出来事って奴だ。
しかし、否応なしにその混乱に巻き込まれてしまい、錯綜する情報や非効率で硬直した強大な官僚機構の海に首までドップリと漬かってしまうと。。
私の様な未熟なアジア修行僧にとっては、毎回、少なからず結構なダメージを被ってしまう。

もしこの声明が事実だった場合は、前述のバリ州知事一押しの9月11日からの海外観光客受け入れ開始計画は当然延期。。
しかも、少なくとも3か月間、場合によってはそれ以上の延期とみるのが現実的だろう。
先日のタイ王国に於けるトラベルバブル案の延期のケースと同様だ。

:関連情報 JETRO バリ島観光再開、7月31日から・・はこちら
:関連記事 外国人観光客の年内受け入れは絶望的・・・はこちら

尚、現在までにインドネシア政府から、この件について公式の発表は為されていない。

それらに関連してか?
昨日、隣国であり、常に訪バリ観光客数の最大派閥のオーストラリアの政府が発した非公式の談話によると、9月11日からのオーストラリア国民のバリ島への渡航開始について、”馬鹿げた楽観主義だ” と揶揄したとされている。

現在、オーストラリア政府は幾つかの例外条項を除いて、自国民の海外渡航を認めていない。
特に同国民にとって人気のある渡航先であるバリ島に至っては、ほぼ禁止に近い措置が執られている。

毎年、100万人以上の豪州人がバリ島を訪れていたのだが。。それが消失してしまうとなると、そのダメージは目に見えるほど大きい。。普段は空きスペースを見つけるのは困難を極めるのだが、見ての通りに空いている。。。

インドネシア観光省によると、この期間に想定されている同国内の800万人余りになる国際観光需要が、行き先が海外に代わり、国内観光にて生み出すと予想される観光消費額が90億ドル余りになるという。
政府としてはそれに期待していると結んでいる。

アセアン域内の国々にとって観光産業は大きな国内総生産を稼ぎ出す非常に重要な産業だ。
再開を待ち望む気持ちはどの国も強いのは判るが、域内の公衆衛生的な安全を考えるのなら、一国だけの早期の単独再開などは考えにくい。
結果、何処の国も再開は同時期になるのでは?、、と私は個人的に想っている。

しかし、それにもかかわらず、経営上の苦境に陥っている航空会社達は当座の資金獲得を見込んでか?
無責任にも搭乗期間を指定しないプロモーション価格の航空券を盛んに販売している。

既に破綻した場合の返金処理も滞る中、少々、白々しくないか?
破綻した場合は涼しい顔をしてダンマリを決め込むのか?
あるいは、性懲りもない踏み倒しか?

彼らには公的資金の注入による救済があるかも知れないが、一体全体、我々の旅行資金の損失に対しては誰が面倒を見てくれるのか?
現時点では魅力的なセール販売が数多く乱発されてはいるが、そう安々と彼らの術中には嵌まらない方が身の為だと想う。