人々の旅や移動への欲求は原始的な本能の一部だとも言われている。
慣れた日常から離れ、まだ見たことのない未開の地を見てみたいという先祖から受け継いできた根源的な欲求だ。
それがあってこそ遠い昔に我々の祖先がアフリカ大陸を脱出し、地球上の各地に散っていったのだ。

大航海時代に入ったこの時代の西欧の列強国は資本と技術を集積し、大洋を超え、犠牲を払いながらも未知の世界を次々に探検し征服していった

やがて時は流れ近世に入ると、幾つかの技術先進国は勃興し、洋の東西で強大な帝国が誕生していったのは歴史が示す通り。
しかし、外の世界にはあまり関心を示さなかった東洋の中華帝国に対し、旺盛な征服欲に突き動かされるように世界各地を探検して、次々に征服していった西洋の諸帝国は周知のとおりだ。

国王の権威、または神の名のもとに次々にアジアの地を平定していく西洋列強国。技術的に先行した文明に対しては後発地域は太刀打ちできない。非情な自然の摂理だろう

歴史の講釈は柄では無いのでこれくらいにするが。
近代以降、全世界で最も人の往来が途絶えていると言われるCovid-19パンデミック期の現在、旅行に関する興味深い調査結果の記事を目にしたので少し挙げることにする。

世界の旅行支出は確実に増加している。特にアジア太平洋地区、中東、ラテンアメリカ地区で顕著だと言われている。画像は バリ島南部ヌサドゥア ゲゲールビーチ

世界的なオンラインホテル予約サイトのHotels.comの調査によると、84%の回答者が、例え制約が有ろうとも旅行に行きたい、または楽しみにしていると応えているという結果が明らかに。
同時に、国境が解放されて旅行が解禁された後でも49%の回答者が依然として不安を感じるだろうとしている。

中位年齢が我が国のほぼ半分ほど?のフィリピン。周囲に高等教育機関が点在している為か? カトリック教徒らしき女学生の姿が多く見受けられるマニラ大聖堂はマニラ観光のハイライトの一つ

続いて回答者は自身のパンデミック後の旅行形態や志向について、従来の大勢が集まるパーティー・レジャー指向地や既存の大都市より、より静かで少人数、または単独行に適した行先を望むとしていると言う。

幾つか明らかになった調査結果を順に挙げてみると。。

・20%の旅行者は旅行を開始するにあたり、地元政府と衛生当局の了承が必要と答えている

・30%は旅行開始について、具体的なCovid-19の治療法やワクチン接種の開始以降の方が、より安心して旅行が出来るだろうと答えている。

・27%は自国政府の旅行安全宣言後に旅行したいと返答。

また次回に旅行を再開するにあたり、ファッション性の追求や家族や友人等とのコネクションを維持する事より、衛生上の問題が最優先事項であると考えているという。

ハンドサニタイザー(61)%やフェイスマスク(51%)、消毒用ワイプ(47%)、旅行保険(43%)を携行し、ラップトップ、サングラス、雑誌等は優先的な携行品リストからは外れているとの結果が。

自国内の行き先が人気だというが。。近年、急速に観光立国に様変わりを遂げた我が国。近頃はその弊害も時折騒がれている。逆に日本の国内旅行は今がチャンスかもしれない

・33%が自国内を訪れたいとする。

・31%が新規の行先より過去に訪れた地の再訪を望んでいる。

・27%が多数の場所を訪れたいとする。

・29%が国内で休暇を過ごしたいとしている。

誰も来ない所に行きたいか。。今迄とは逆の発想になるけど。。。こんな所はもたまには。。

・26%は国外旅行を希望している。

・86%は次回の旅行をコロナパンデミックのストレス解消の位置付けとしている。

・宿泊施設に一番に臨むこととして、51%がホテルのバフェ・サービスを挙げ、2番目に清潔なタオルやリネン類、次に衛生消毒用品の充足を(48%)と続く。

安全の為に充分なソーシャルディスタンスがとれる場所が人気だが。。これなら安心かも。。パタヤタワー展望台 ジョムティエンパタヤ

それではどんな所に行きたいか?というと。。。
以下のような調査結果が出ているようだ。

・44%がビーチリゾート。

・43%が高級5スターリゾート。

・35%が独立系バケーションレンタル。

反対に行きたくないー避けたい事柄は。。

もうこんな光景は二度と見られなくなるのかもしれない。 パタヤビーチ大晦日カウントダウン

36%が混雑する環境でのアクティビティを挙げ、警戒心を抱いているとの結果が。
空いているビーチ、より自然に近い海岸に行きたいとしている。
また多人数を収容する大規模施設より、より小さなブティック・バーやレストラン施設を好みたいとしている。
交通機関や移動手段も、多人数を収容するボートや密集するバンなどが避けられる傾向だという。

・25%はロマンティックな休暇を望む。
38%は家族との再会、疎遠になっていた知人や友人達との会合を望んでいる。

・40%が家族との旅行、31%はパートナーとの旅行。
これらは友人達との大騒ぎ(19%)や買い物(17%)よりも明らかに多くなっている。

・45%は単純に日常を抜け出し何処か違うところに行きたいとし、行き先は何処でも良いとしている。

どうやらマスツーリズムの時代は、これで終わりを迎える予感がしないでもない。 やりたい放題の中国人観光客グループは見ている分には中々楽しめるアトラクションなのだが。。

これらを見てみると、、旅行欲求は依然として高く推移しているものの、その最優先事項は過去6カ月でかなりの変化が見られると結ばれている。

ニューノーマルという言葉を盛んに耳に入りだした今日。
一体、何がニューノーマルなのか?
新しい日常? いまいち釈然としないが。。
どうやら我々の愛して止まない旅行の世界でも、途轍もない変化が不可避かもしれない。