6ヶ月以上に及ぶCovid-19の世界的な騒ぎにいささかウンザリなのは万人が認めるところだろう。
そこへ来て更に新しい疫学上の危機が迫っていると言われたって募る想いは今更感だけかもしれない。

しかしだ!親愛なる当ブログの読者様方に敢えて声を大にして言おうと想う。
デング熱はマズい! しかもかなりヤバイ!
日本に居住している限りそれは馴染みのない伝染病だが、東南アジアや他の熱帯地域では極めて一般的な感染症でむしろ日常生活の現実の一部に近い。
因みににデング熱は、英語では Dengue Fever≒デンゲ フィーバーと発音する。

毎年の事だが、またしてもインドネシア共和国でデング熱が猛威を振るっているという。
雨が降り続いて国中が濡れに濡れ、そこら中の水溜まりで天文学的な数の蚊が発生する雨期ならともかく、現在のインドネシアは乾いた乾期の真っ只中。
それに加えてCovid-19絡みで人の往来が且つてない程に減少している筈でなかったか?

ジャカルタに市内に点在するスラムは現代都市に現存する地獄と言っても差し支えない。蚊に刺されるなって言っても、これじゃーね。。

最近の関連記事によると、インドネシアの衛生省が国内のデング熱の発生数が68,000例に達し、現況ではそれが減少する様子が無いとの警報を発したとある。
日別の発生数は100-500例にも達し、6月22日の時点で症例の総数が68000例、死者数が346人に達したという。

因みに、同月24日のインドネシア国内のCovid-19の症例数は49,009例、死者数は2,573人になっている。
症例数だけ見ればデング熱の方が断然多い。
最多発生地域は、都市圏人口が東京に次いで3千万人を超えるジャカルタ特別州がある西ジャワ地方。
その症例数は1万を超え、次になんと9千件近い症例数のバリ島が来ているとある。

そして各地方の死亡率を多い順にみてみると、西ジャワ、ジャワ中部、東ジャワの順になっていて、興味深いことにこの順番はCovid-19の症例数でも同様だという。
そして何とも痛ましいことに、そのうちの幾つかの患者は、デング熱とCovid-19の両方に感染しているという。

尚、デング熱とCovid-19では発熱と倦怠感を伴うなど、初期症状は似通ってはいるが、デング熱は症状が進むにつれて、鼻血、アザ、歯茎からの出血、皮膚発疹等のCovid-19には無い特徴的な症状が発症するという。

熱帯地域で罹患する感染症と言えばマラリアなどが比較的に知られてはいるが、全世界で毎年約4億人が感染するデング熱の方が、我々邦人にとっては現実的な脅威だ。

引用元 厚生労働省HP その他の感染症について

:参考リンク 政府広報オンライン デング熱にご注意を! はこちらから

引用元 厚生労働省HP その他の感染症について

そのデング熱だが、在東南アジア歴20年近くになる私は未だに未罹患だ。
多分に幸運なだけかもしれないが、現地滞在時は日頃から非常に気を使っている。
波乗り修行僧でもある私にとって、野外活動中を完全に避けるのはナンセンス。
長期間現地で活動する中、知人達が次第に感染していくのを見聞きしながら、なんとか自身をマネージしてきて現在に至るが、その過程で幾つか気が付いたことがある。

先ず一言に蚊と言ってもその種類は幾つもあり、その習性と分布場所が微妙に違うことに気が付いた。
次に多くの種で活発な活動時間が、やはり夕方から夜半であること。
気温が上昇する日中は、彼らも涼しく暗い屋内などで休んでいることが多い。
頻繁に刺される環境としては夕飯時の野外と、油断している屋内での就寝時
これについては、露出部位の防虫処理と寝る前の駆除で感染の機会が劇的に減少すると想う。
しかし、しばしば野外で襲ってくる様なしつこい輩は、時として薄い衣類の上から無防備な背中等を刺してくることもあるので注意が必要だ。
刺される部位で圧倒的に多いのは何といっても足周り、次に視界の及ばない肘辺り
これらの部位に忌避剤を塗布するだけで、刺される回数はかなり防げる筈。

滞在年数が有る程度過ぎたある時、一度発症したことある患者が再度感染するケースが多い様に感じる事にも気が付いた。
またか! この前、やったばっかじゃん? ってケースが多々あるのだ。
その何人かの哀れな犠牲者たちに、事の次第を訊いてみると。。

初回の感染時は一様に運が悪かったと思い、自身の生活スタイルを顧みることもしなかったが。。
これが二回目辺りになると流石に我に返ったと、後から口を揃えて言うのだ。
そして、遅ればせながら防虫剤と蚊よけの薬剤を使い始め、野外での無頓着な行動を慎むようになるのだ。苦笑!

在バリ島歴が優に30年を超す友人達だが、若気の至りだったのか?この世代はもれなくデング感染歴がある。普段は陽気で太々しく屈強な豪州人だがデング熱になると、その彼らでさえ病弱の子猫のように大人しくなる。実地の痛い教訓を得た後で、その彼らが口を揃えて言うのだ。決してデングにはなるなと! 長年、寝る間も惜しんで一年中、彼等と共に大波を追い掛け回している私にはこれ以上に説得力のある忠告は存在しない

此処までに至るのには、相当数の時間的損失と金銭的なロスが発生していることは言うまでもない。
デング熱は4タイプあり、罹患回数が進むにつれて重症化しやすいと言われている。
更に悪いことに最近まではワクチンも特効薬も存在していなかった。
その治療法は専ら対症療法に限られていたという。
重症化すれば当然それなりの医療処置が必要になり、それにはかなりの出費が伴う。
対処が遅れたり、何もしなければ死んでしまう事もある。
依然として医療機関へのアクセスが限られているローカル達の突然の他界は、バリ島では珍しい事では無い。

熱帯地域に拡がる東南アジア。
魅惑のビーチリゾート、洗練された国際都市、未だ自然が色濃く残存する離島等。
アイツ等は屋内外、場所や時間、対象を選ばず抜け目なく襲ってくる。
しかし、Covid-19の様に見えない訳ではない。
対処もそれ程、難しい事でもない。
悪いことは言わない!
要は刺されない事に越したことはないのだ。
たかが蚊と油断しない事を薦めます。