コロナパンデミックにより、世界の国々がその国境を閉ざす中、タイ王国から僅差で帰国して3週間が過ぎたところ。
本日、思わぬところで手痛い罠に嵌まってしまった。

帰国以来、辛抱強く外出は最低限に抑えていたのだが、テレビで珈琲紙フィルターを使った代用マスクの造り方を見て、近所の100円均一に出向いたところ、トンデモナイ事態に見舞われる事に。。

出来事には無関係だが、前段としてそのアイテムを説明する。
例として無作為に検索したYou Tube動画を下に挙げてみる。。

:コーヒーフィルターを使った立体マスクの造り方 参考外部リンクはこちら

現在の世界的なマスク品薄状態を鑑みると、中々な妙案に想えたのだ。
近所のラーメン屋で腹を満たし、100円ショップへ向かう。
そして首尾よくコーヒーフィルターを200枚ほどゲット。
同じくメディアで見た対コロナ防護服の代用として、自治体向けに寄付が呼びかけられていると言う簡易ビニールカッパを数セットを共に購入し、車に乗り込んだまでは良かった。

そこでウインドウをコツコツと叩かれた。
そこには、にこやかな笑みを私に向ける婦警さんの姿が。。
ハイ、なんでしょう? 車はまだエンジンもかけていないので交通違反ではない。。
ほう! 通常の職務質問だ。。今までも経験があるし、何も問題はない。。
ましてここは法治国家の祖国日本で、悪徳警官達が跋扈する東南アジアではない。

当ブログでも、何度か現地官憲とのやりとりの記事を挙げてはいる。
参考に以前クアラルンプールで遭遇した悪徳警官とのやりとりを記した記事をこちらに挙げておく。

ドアを開けて礼儀正しく、にこやかに態度で応え用件を聞くと。。
まるで市民に仕える公僕はこうあるべきだという見本のような遜った態度で、幾つか質問をさせてくださいと言う。

勿論、こちらもそれは市民の当然の義務と言わんばかりに、どうぞどうぞとこれ以上は無いくらいな協力的な態度で車の外に出る。
それで次に言いつけられたのはポケットの中の物を全て出して、差し出された袋の中に入れろと言う。
ハイ解りましたと、財布と車を出る時に反射的に抜いた車の鍵をその袋に入れ大人しく従う。
そして、断りを入れてから裏返しにされたポケットが探られてボディーチェック。

親愛なるグーグル様によると、私は毎年、地球一周分以上の距離を移動してアジアを股にかけるアジア系難民。
航空機搭乗に纏わる保安検査などで、執拗なボディーチェックなど日常茶飯事。
公衆の面前でのそれなども、さしたる問題ではない。

当然、何も出ては来ない。
そして次は車内のチェック。
どうぞどうぞ!何でもやってください。。
運転席、助手席、コンパートメント、後部スペース等、こちらの了承をとりながら順に視られていく
その際、ペアの同僚の男性警官は一歩下がって様子を見ているだけだが、恐らくそれが通常の手順なのだろう。
私は終始リラックスしたままで友好的な態度を崩さず、テレビで目にしたフィルターマスクを作ろうとして此処に来たという、どうでも良いような経緯を話す。
これが国を問わず、官憲と接する時の必要条件だ。
警官、入国審査官や税関検査官などに接する時には、決して焦ったり、緊張したり、敵対的な態度をとってはいけない!
それはアマチュアのやる事で、常にクールな協力的な態度が鉄則だ。

時折、所持品に対する質問を交えながら一通りの検査を終える。
しかし、国内で身分証として使われる運転免許証はまだ返してもらえない。

あれー!これが万国共通の悪い兆候だ。
先日、ちょうどタイの警官の動きについて、現地の友人の私見を聞く機会が有った。
それによると、彼の地の警官達は概して身分証や車両の鍵、その他の所持品に手を延ばそうとするので可能な限り、それを拒否するべきだと真剣に私に向って忠告してくれた。
そう言えば、交通検問などで止められた時に勝手にコンパートメントに手を突っ込もうとする警官は、たびたび遭遇してきた。
主にインドネシアだが、財布に手を延ばそうとする輩やバイクの鍵を即抜き取ろうとする奴までいる。
盗られたり何かを入れられたりと、そこから派生しうるトラブルは極めて深刻だ。
そのような行動がとられる明かすぎる理由は、敢えてここで触れる必要はないだろう。

そして振出しに戻り、再度、車の鍵が手にされる。
そして、それについているポケットナイフを調べ始める。
どうやら開けるに難儀しているようで説明を求めてくる。
当然だ!長年、常用的なキーリングとしてバイクや車の鍵に付けて持ち歩いている物なので可動部のネジも脱落し錆や劣化も生じている。
ほぼ固着してうまく動かないので、そろそろ新調するつもりではあったのだ。

そして大人しく開けてみせて手渡すと。。
何やら同僚とヒソヒソ話を始め、何かが決まった様な様子に落ち着く。
これも悪い兆候だ。
法執行官が二人以上集まり該当案件に対して議論をした場合、そのまま無事に終わることは少ない。
大概、何かが引っ掛かり問題なのだ。

あーあ、そんなのが問題なの? 車の鍵にくっついているポケットナイフが??
非常に遜った態度を崩さない婦警さんがパトカーから何やら持って戻ってくる。
その手には薄い板に目盛りと切れ目が付いたゲージ。
そしてナイフを吟味しながら刃渡りや厚みや幅などを測り始める。。
そして歯の収納機構も調べると、これが痛く抵触したような雰囲気。
どうやら刃のロック機構がマズいらしい。
大体、大人の中指以上の大きさの折り畳みナイフ等にはよく付いている不意の誤収納を防止するあれだ。

それ以降の顛末は長くなるので省かせてもらうが、以後、私が陥る厄介や状況は、悪めのスピード違反を執られた時の手順とほぼ同じ感じ。
ウンザリする程繰り返される調書、質問、説明、写真撮影、書式に署名、そして捺印の嵐。

幸い、協力的な態度が良かったとみえ、出来るだけこちら側に負担の少ない形で処理を取り計らってくれたようだ。
しかし、最後の開放までには身元引受人に現場まで来てもらう必要があると。
本来なら、警察署で身柄を引き渡されるのが通常手順とのことだが、真っ白しろで一点の曇りもない善良な市民の私の身の上が幸いし、同情した婦警さんが応援に駆けつけた他の警官と共に本署に掛け合ってくれ、多少の手順の簡略化を行ってくれた。
それでも、パトカー計4台の手厚い歓待を受けた、それの寒風吹きすさぶ100均の駐車場でだ! やれやれ!

こんなことなら、コロナ災禍のパタヤに留まっていた方が良かったかもしれないが、それも後の祭り。
大分、長くなってしまったので纏めると以下のようになる。

この手の法律違反には、大きく分けると軽犯罪法違反と銃刀法違反がある。
罪状は、正当な理由のない刃物の所持と規定以上の大きさの刃物の所持。

今回、私が問われたのは刃渡りは規則の範囲内だったらしいが、どうやら刃の幅が5㎜程、抵触してしまっていたとのこと。
それも、折り畳みナイフにありがちな折り畳んだ状態から刃を引っ張り上げる時に摘む僅かな三角の形状の部分が規定超過らしい。
なにも大逸れた形状のナイフではなく、あくまでもポケットナイフなのでその部分以外は細く小さい普通のナイフ。
そして、はっきりはしないがロック機構がイケないらしい。
ある程度の大きさ以上になると、ナイフは固定ロックが無いと自分の指を切ってしまう危険が常にある。

が、しかし規則は規則。。後の祭り。
身元調査、車両関連情報の精査、身元引受人として家族を現場に呼びよせ、更に軽い調書。
後日の出頭命令、更なる調書、指紋や顔写真、事情聴取の段取り等、全てを終えるまでに約2時間を要した。
もうどうする事もできない、日本で起きたのが幸いだ。。
このナイフは東南アジアでも、自宅の鍵やバイク鍵と一緒にキーリングに繋げていた。今迄、何度も警官に止めらた時も、一度も問題にはなることは無かったのだが。。

どうやら、これで私も晴れて前科持ちになったようだ。
後の略式裁判で罰金を納付して終わるとのことだが、以後の出国制限などに繋がらないことを祈るばかりだ。

親愛なる読者の皆さん、ポケットナイフや刃物を所持する時は規定を一調べすることを強く勧めます。