前夜の痛飲の為か? いつもより遅く目が覚めた今朝。
外を覗くと快晴ではなく、多少の雲の広がりを目にする。。
何時の時点かは判らないが、今日は降雨が有りそうに想えた。
人間社会はコロナ・パンデミックで持ち切りだが、自然のサイクルはそれに構わず進行しているようだ。

遅めの朝食を済ます頃には、雷雲が急速に空を覆い始めて空は真っ暗になり、冷たい風が吹き始める。。

降るなら降るで良い、、どうせ短時間で済むのがこの地方の雨の特徴だ。。
先週からの気温上昇は酷く40度近くまで来ている。
よって空気はカラカラに乾き、外気は市内全域で進行中の道路工事も相成り酷く埃まみれ。
気温を下げて浮遊しているとされるPM2,5やコロナウイルスを、一度綺麗に洗い流し一掃してくれれば尚更、好都合だ。。

世相はコロナ災禍一色だが、ここパタヤは至って平和だ。これだけ世界中から人が集まる観光都市なのだが、報告されている患者数は未だにゼロ! 汗 先日までのバリ島と同じ状況。苦笑 知らぬが仏らしい。そのまま無いことにしておこうというのが当局と市民の共通する想いなのだろう

その降りだしそうな空の下、室内で処理可能な日々の雑事を済まそうとブッカオのトニージムに向かう。

沈没ファラン御用達フィットネス・スポットのトニーズジム・ソイブッカオの前記事はこちら

一時間程のワークアウトの途中、お約束のスコールに見舞われる。。
この地方特有のバケツをひっくり返すような例の奴だ。
こうなると人種の如何を問わず、皆で空を見上げながら適当な場所で雨宿り。。
みるみるうちに道は大洪水に。。
これも此処ではお約束。。

幹線道路は濁流渦巻く急流になり、市街地で溺死するケースもあるので注意。それ以上に漏電や感電事故の方が切実な恐怖だ

ジムでのお務めを済ませ、後はどうせ宿に帰りシャワーを浴びるだけなので、スコールの中を強行突破をするべく外へ向かうと。。
何やら階段下にへたり込んだファランの周りに数人のローカル達が彼を囲んで、傘を差しながら心配そうにしている。。ファランはすっかり意気消沈し顔色も悪い。
嫌な予感だ。。
近寄ってみると。。彼の手に血が付いている。。
あーあ、、やはり。。何かあったな。。
心配そうに取り囲むタイ人達に私のつたないタイ語で訊いてみると。。
階段で滑って転げ落ち、頭を強打し後頭部に裂傷を負っているとのこと。。

オイ、この角が何故か鉄製になっている割には、滑り止め加工はされていないユーザー・アンフレンドリーな階段から落ちたのか?
先進国の人間の基準からすれば、濡れようが何しようが簡単に滑るべきでないのが階段だが、ここでは異なるルールで作られるのだ。
バリ島など特に酷く、床材や道路面などわざと滑るように造っていると想うくらいよく滑る。
雨天の車両運転時など、くれぐれも細心の注意を払ってほしい。

この絡んだスパゲティーの様な電線の束を見て欲しい。雨天時は十二分に注意し近寄らない事だ。

すっかりしょげている気の毒なファランの御仁は全く言葉を発しない。
おい、まじかよ! 脳震盪まで起こしているのか? 記憶が無いなんて言うなよ!
もし、それだったら非常に面倒臭いケースになってしまう。

豪雨の雑音の中、声を張り上げてしゃべれるか訊いてみると。。
なんだ、、しゃべれんじゃん。。それも普通に。。
どうやらこの御仁はタイ語はからきしらしく、階段から落ちた後から言葉を発しず周りに集まったタイ人達に全くのお任せ状態に陥っているらしい。。

オイ、ファランよ! 痛いのは判るがそれってチョット消極的過ぎないか?
それともショック状態に陥っているのか?
ショック状態なら温めたり、落ち着かせたり、心拍や呼吸なども確認しなければいけない。
しょうがないな、世話が焼けるぜ。。
周りのタイ人はバンコクの都市住民では無く素朴なブッカオ町民だ。
純朴な彼らに出来ることはそう多くない。

こんな階段から落ちるのなら、どうせジム利用者だろう。。
そして大方この界隈に棲むブッカオ・ファランに違いない。
相手の状態を見ながら質問を投げかける。

タイに住んでいるのか?
何処に泊まっているのか?
状態はどうだ?
現在の状況はどうなっていて、そちらの希望は?
そして最後は保険加入しているか?

応えは、住んではいない。
ステイ先はこの先のChill inn。。

連日、西洋の引退老人たちの憩いの場と化すチルイン。その彼らの重要な楽しみの一つである食事は当然、高品質になる

チルイン。。ブッカオ・ファラン御用達秀逸wifi朝飯スポットで、私の馴染みの一つでもある。 笑
しかも、ここから目と鼻の先。。
レストランと同時に低価格BBもやっていて、よくアゴダ等で一泊千円台からのヒットがある。

Chill innの前記事はこちらから

チルインステイか。。踏んだ通りの低予算単独しょぼくれファラン爺。。
彼が言うには、頭をぶったが状況は判らない。。
彼らが(周りのタイ人を指し)何かしようとしている。。

保険? なんでそんなことを訊く?  故郷のオランダでは入っているが。。
と警戒感露わに歯切れの悪い返事が。。(あーあ、そのモノやないけ!!!)
そこで多少、正気に戻ったのか? 出血する頭を触りながら病院なんて行かなくていいかもって! この場に及んで悪あがきを始める。。。
きっと請求書を想像したら、一瞬で現実社会に引き戻されたに違いない。

世界の中高年男性の最後の楽園と言われるパタヤだが、その中でも沈没系ファランの難民キャンプの位置付けのソイブッカオは今日も行き場を失くした彼らで賑わう

タイ巡礼には緒論あるのは判っているが。。
もっとも簡単なその臨み方として、スワンナプーム空港かドンムアン空港の到着ロビーを出た途端、そこに完璧に冷やされて準備されたローカルビールのLEOをグッと一気に数本やり、現実世界の雑事の数々を全て忘れて無かったことにするってのがある。
要するに人生の履歴メモリの初期化だ。。

仕事、義務、債務、自身の健康問題、女房に子供、親、家庭、部下、自身の人生、課題、目標、所属する会社や組織や社会。。
現代のサピエンスが抱え込むすべての問題をこの時点で頭から帳消しし、次に思い出すのは出国ゲートをくぐる時まで。
そう、絵に書いたような現実逃避だ。
そして逃避できるうちはパタヤは理想的な桃源郷であり続けるのだ。
そう、逃避できる限りは。。

それが出来なくなると。。
帰国便をぶっ飛ばしてから、よくスワンナプーム空港の駐車場から身を投げるファランが居る。。合掌しかない。。
そんな切ない毒蜜併せ持つのがパタヤ巡礼なのだ。。

パタヤ巡礼。。巡れる場所は88ヶ所どころではない。880ヶ所をも優に超えるだろう

私が介入したことによって我に返ったこの御仁。。
病院行っても絆創膏張る位で済むかもって私に説明し始める。。
きっと、病院から容赦なく出される請求書が怖くなってきたのだ。。
もし、頭打って唯一無二の高級私立病院のバンコクホスピタル・パタヤなんか行ったら、そのまま死んだ方がマシだったと後悔することは必至。。だから保険に入っているかと訊いたのだ! たわけ者め!
悪いことは言わない。。
この長い階段を転げ落ち、頭頂部から出血中だ。
最低でも病院には行っておくべきだ。。
しかし、明言せずとも保険は無し。

(この問題はタイ政府や日本政府も早急に対処すべき頭の痛い課題として認識している)

それなら、もっとお安めの何処か希望の医療機関はあるかと訊いてみるも。。
勿論、埒はあかない。
そうこうしているうちに、誰かが呼んだタクシーが到着。。
その場で唯一の意思疎通が出来る私に皆の視線が集まるが。。
私は勘弁だ。。
こんなのに付き合ったら友人でもないのに、後の請求書まで付き合わされかねない。
出来るのは此処まで。。
最後にチルインなら知っているので、宿に伝えておこうかと提案してからその場を後にした。。
土砂降りの中、この沈没系ファランの名前を聞き出し頭のRAMに捻じ込みながらバイクに跨り。。一路、チルインへ。。
と言っても僅か1分の至近距離だが。

乾季真っただ中のタイに、暫くぶりに訪れた土砂降りの雨。。
乾ききった街に容赦なくぶちまけられる雨水だが、路面に溜まるそれには約半年分の汚れを含み状態は劣悪。。
道路は滑りまくり、汚染物質や黴菌の事は想像したくもない。
同時に乾期の間に実行される容赦ないインフラ工事によって、路面は穴、ツルツルの鉄板、凸凹等で溢れている。
全てはヌルヌルドロドロで、しかも溜まった水でそれらは全く視認不能。。

約半年ぶりのレイン・コンディションだ。
自信の安全を最優先に活動して欲しい。
繰り返すが、第三世界は予想外の事ばかり
階段や床面、または路面は滑りまくりの突っかかりまくりで危険な事この上ない。
こんな状態が故にもしもの時のバックアップは必要だ。。
自身の心身はデリケートな精密機械だ、ぶっ壊したら高いぞ!
海外対応傷害保険。。
日頃から善処しておきたいものだ。。